■企業の値上げ動向を時期と業種別に分けても紹介
小麦粉・パン、冷凍食品、食用油など食品をはじめとするさまざまな商品が値上がりしています。
背景には原油価格や原材料費の高騰、ロシアのウクライナ侵攻の影響、円安などがあり、今後もしばらく値上げラッシュが続くと考えられるでしょう。
こうなると家計へ影響が心配になります。そこで、一番値上げを実感する「食費」を節約して、家計防衛をする方法を効果的な順に5つご紹介します。
■今後も続く「値上げ」6月以降に値上げされる食料は?
帝国データバンクによる「企業の今後1年の値上げに関する動向アンケート」(※)では、企業の64.7%が「主要製商品・商材、サービスの値上げを過去半年間ですでに実施、または4月以降1年以内に予定」と回答しています。
出典:帝国データバンク「企業の今後1年の値上げに関する動向アンケート」
今後1年以内で値上げを行う企業について業種別にみてみると、「飲食料品・飼料製造」が 73.1%と突出して高くなっています。飲食料品の値上げについては今後も覚悟しておく必要があるでしょう。
出典:帝国データバンク「企業の今後1年の値上げに関する動向アンケート」
※アンケート期間は2022年4月1日~5日、有効回答企業数は1855社(インターネット調査)
今後の食品の値上げについても詳しくご紹介します。
■今後の食品の値上げ(一例)
【小麦粉・パン】
- 日清製粉:6月20日から、小麦粉25 kg当たり325円~385円の値上げ
- 山崎製パン:7月1日から、食パン平均8.7%の値上げ、菓子パン平均4.3%の値上げ
- 敷島製パン:7月1日から、パンや菓子類を約2~9%の値上げ
【食用油】
- 日清オイリオグループ:7月1日から、オリーブオイルやごま油など5~30%の値上げ
【即席麺】
- 日清食品グループ:6月1日から、カップ麺や袋麺5~12%の値上げ
- 明星食品:6月1日から、カップ麺や袋麺6~12%の値上げ
- 東洋水産:6月1日から、カップ麺や袋麺9~12%の値上げ
- サンヨー食品:6月1日から、カップ麺や袋麺約10~12%の値上げ
【冷凍・レトルト食品】
- ニチレイ:8月1日から、家庭用冷凍食品の一部を約8~20%の値上げ
- 明治:6月1日から、冷凍食品4.8~8.3%の値上げ
【調味料】
- 味の素:6月1日から、「味の素」など約2~13%の値上げ
- ミツカン:6月1日から、酢各種を家庭用約3~10%、業務用約4~13%の値上げ
- 永谷園:6月1日から、お茶づけ、即席みそ汁など約5~9%値上げ
【飲料】
- 伊藤園:7月1日から、ティーバッグ茶・顆粒茶・抹茶5~12%値上げ、紙パック飲料製品を10%値上げ、ペットボトル、缶の野菜飲料製品を4~8%値上げ、缶コーヒー6~9%値上げ
- メルシャン:7月1日から、ワイン8~10%の値上げ、焼酎3~7%の値上げ
- サッポロビール:7月1日から、焼酎1.4~1.9%、輸入ワイン1.6~49.8%の値上げ
- アサヒビール:10月1日から、「スーパードライ」「贅沢搾り」「ドライゼロ」など値上げ
※上記は値上げされるものの一部になります。
※2022年5月18日時点の情報です。
■効果が高い順!「ほんとうに続く食費の節約術」5選
私たちが値上げに対して家計防衛するにはどのような方法があるでしょうか。食費の節約に絞って、効果が高い順に5つの方法をご紹介します。
■食費を節約する方法1.外食の回数を減らす
食費に対する割合が高いのが「外食費」です。4人家族で1回に4000円ほど外食費がかかっていたら、1回減らせば4000円、2回減らせば8000円節約できます。
もちろん別途食費はかかりますが、コストは半分以下になるのではないでしょうか。「セール品を狙って買い物をする、まとめ買いをする」といった地道な方法より、節約効果が高いのは言うまでもありません。
どうしても外食の回数は減らせない人は、リーズナブルなお店の利用を増やして、年に数回だけ非日常を味わえるお店にするなど選択を工夫すれば節約が可能です。
■食費を節約する方法2.買い物の回数を減らす
買い物に行くと、ついつい余計なものを買ってしまって、想定より大荷物で帰ってくることはありませんか。「ついでに買っておこう」、「あった方がいいかも」と商品棚を見ているうちにあれもこれもと買い物かごに入れてしまう経験は誰しもあると思います。
これは商品に目移りしている部分もありますが、「買い物に行く行為」は一つの労働なので、「せっかく来たから買っておこう」という心理が働いて最低限のものだけ買って帰るのはもったいないと感じるからだと思います。
つまり、買い物に行けば行くほど無駄なお金を使ってしまいがちということ。そこで、買い物は週に1~2回まとめ買いをし、買い物をしない日を作ることで支出を減らすことができます。
■食費を節約する方法3.まとめ買いをする
買い物の回数を減らすための手段が「まとめ買い」です。方法としては、普段利用しているスーパーの特売日を狙って買い物をします。その時に3日分の献立を考えて食材をまとめて購入します。
1週間分の献立を立てられる人は、週1回の買い物で済むのでその方が節約になりますが、ハードルが高くなってしまうので3日分くらいがいいでしょう。
献立を立てる時は、スーパーで食材を見ながら決めると「旬のもの、安くなっているもの」を取り入れた献立が立てられます。
生鮮食品ではないものの、まとめ買いも効果的です。「○%オフの日、ポイントが倍になる日」などはまとめ買いのチャンス。ただし、まとめ買いをする商品は「確実に消費した実績のあるもの」に限りましょう。
■食費を節約する方法4.作り置きをする
作り置きと聞いて「大変だな」と思ってしまう人は次の方法を試してみましょう。
いつも通りに食事を作るのですが、量を多めに作るだけです。たとえば、ハンバーグを作るのに、倍の量を作っておいて冷凍をしておけば、1食分ストックができます。唐揚げや煮込み料理、カレーなど、冷凍保存が可能なものは多めに作ってストックしておきましょう。
作り置きというと、休日に大量の野菜や肉などを買ってきて、保存が効くおかずや常備菜を作るイメージがありますが、時間が取れない人でも普段の料理を多めに作るだけで、作り置きができてしまうのでぜひ試してみてください。
■食費を節約する方法5.ふるさと納税をやってみる
ふるさと納税は、自治体を選んで寄付を行うことによって、寄付をした金額から2000円を引いた金額が所得税、住民税から控除される制度です(給与収入や家族構成で上限額が異なります)。
寄付をすることによって、その地域の特産品などがお礼(返戻品)としてもらえます。所得がない、あるいは少ない人にとってはメリットがないため、ここでは最後の項目にしました。
ふるさと納税がお得に利用できる人は、返戻品によって食費を節約できます。たとえば、お米や肉など、食費に占める割合が高いものを返戻品としてもらえば節約効果は大きいでしょう。
また、ふるさと納税は金額も大きいので、ポイントが付与される「ふるさと納税サイト」を利用すれば、効果的にポイントが貯められます。
■じわじわと続く値上げへの対策を考えよう
どの企業でも、急激な値上げは避ける傾向があるため、少しずつ価格に転嫁していくでしょう。そのため、家計に打撃というよりはボディブローのようにじわじわと効いてくるイメージです。
これは工夫によって影響を少なくすることは充分に可能です。場合によってはこれらの家計防衛術によって、収支を好転させることもできるでしょう。
こうしたことは長く続けることが肝心なので、ぜひ習慣化して節約上手を目指してほしいと思います。
■参考資料
- 企業の今後1年の値上げに関する動向アンケート| 株式会社 帝国データバンク[TDB]( https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p220405.html )