イラン情勢の変動に株式相場も翻弄され、世界秩序に激震が走っています。ホルムズ海峡の問題は一筋縄ではいかないように見えますが、停戦に向かっていると早々に判断され株価も急落から急反発しています。

相場の乱高下は投資家心理をかき乱します。こうした状況でも冷静に判断できるように気をつけておきたいポイントを解説したいと思います。


相場急落後の急反発、今すぐ売るべき?乱高下で後悔しないための...の画像はこちら >>

お悩み

急落のいいタイミングで投資ができたが、あっという間に戻ってきて不安でもう売りたい…

安藤湊さん(仮名)・会社員・40歳男性(既婚、妻は専業主婦、子ども3人)


 安藤さんは新NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)が始まったタイミングで投資をスタートし、積み立て投資を軸に個別株式も少し投資をして、投資メディアやいろんな人の動画配信などで勉強をしながら少しずつ投資に慣れてきました。


 何度か相場の急落を経験して、株式投資一辺倒ではせっかくの利益があっという間に目減りする経験をしたことから、ある程度は手元資金を残しておいて相場の下落にも備えるようにしていました。


 するとちょうど予想外の出来事で相場が下落し、保有中の投資資産は目減りしていましたが、追加投資をしたところで相場も反発してきました。思った以上に早く相場が戻ってきて、追加投資分もそれなりに利益が出てきたことから売却するべきか悩んでいます。


 このまま相場が元の水準に戻ってくれればいいが、もしもう一段下がってきたらどうしようかと不安になってきました。


 安藤さんが相場急落後の反発局面にうまく対応をしていくためにはどうしたらいいのでしょうか?


良いタイミングで投資ができたなら余裕を持って構えたいところ

 せっかく株価の下がったいいところで投資をスタートできたのに、相場の乱高下に慌てて売却してしまい、思ったより利益がでなかったという経験はありませんか? 私は何度か経験して、その時は投資判断を誤ったかなという時もあれば、売っておいて良かったという時もありました。今でこそあまり値動きを気にせず見ることができますが…


 ただその後の株価を見ていると、やはりそのまま保有しておいた方が良かったというケースがほとんどです。結果論かもしれませんが、目先の利益よりも中長期の目線で投資をしている方がしっかりと利幅を取れていることが多いようです。


 もちろん日経平均株価や米国S&P500種指数など代表的な株式指数が高値を更新、または高値付近にあることを考えると当たり前かもしれませんが、本来の株式投資の魅力を考えるとやはり短期的な投資よりも長期的な目線で投資をしていきたいところです。


 そこで今回は、相場急落時に投資をスタートしてその後反発した時に大切な投資のポイントをお伝えしたいと思います。


ポイントその1:株価が戻ってきたからといって売却を急がない

 株式投資で短期的に利益を出すためには買い付けのタイミングが最も重要ですが、いくら良いタイミングで買い付けをできたとしても、慌てて薄利で売却してしまってはもったいないことになります。株価が大きく下がった時ほど、少しの反発でもそれなりに利益が出ます。


 ただ10%下がった株価(例:1,000円→900円)が元に戻るには約11.1%の上昇が必要で、20%下がった株価が元に戻るには25.0%の上昇が必要になります。

つまり、大きな下落時ほど株価が戻した時の値幅も大きくなることが分かります。


 そしてきちんと株価が戻ってくるような銘柄であればさらに一段と上昇する可能性も考慮しておくべきです。だからこそ買い付けする時にもどのぐらい下がったら売却するのか買い増しするのか、どのぐらい上がったら利益確定するのかをイメージすることが大切です。


 私の場合は、価格の値動きが大きい投資先ほど、売買のイメージをしっかり持って投資をします。また売買も一度に買うのではなく複数回に分けるなど、できるだけ価格を平均化して投資するなど精神的な負荷の少ないやり方で売買するようにします。自分なりのイメージを持って、投資経験を積んでいくと良いでしょう。


ポイントその2:急落前後の相場の違いを確認してみる

 株式相場の急落前後では、代表的な株式指数が元に戻っていてもその指数に採用されている個別株式は上昇した銘柄と戻っていない銘柄などこれまでとは違う動き方をしていることが往々にしてあります。


 急落するほどの出来事があるとそれが相場の大きな節目となって、注目されているテーマが変わったり、銘柄の利確や入れ替えが行われたりします。つまり、急落前に相場をけん引してくれていた銘柄と急落後に戻っている銘柄や上昇した銘柄に違いがないか確認することが重要となります。


 また株式投資は将来を読み込んで動くとされており、実際に起きている出来事だけでなく先読みして動くことから目先の出来事だけに囚われていては実際の相場の値動きについていけなくなることも珍しくありません。


 相場の値動きが少ない時はあっても、「何もなく安定している」という時はほぼないといっていいでしょう。常に相場は政治経済や企業業績などの情報によって変動していますし、投資家はその中でチャンスをつかもうとしています。無理についていく必要はなく、自分には向いてないと思ったらしっかりと投資対象やタイミングを分散するようにしましょう。


ポイントその3:急落を経験した上で自分の投資方針を確認する

 相場が安定している時や投資がうまくいっている時は、自分がとっているリスク(投資対象資産や保有資産全体の価格変動)がどの程度かという実感は分かりづらいものです。私の経験上、実感しやすいのは相場が急落した時だと思います。


 そのため、私たちはお客さまと話をする時には保有資産や提案商品の過去の値動き(ヒストリカルシミュレーション)を見ながら、過去の急落ではどんな動きをしていたかを検証して、それが本人にとって許容できる範囲の値動きかを確認するようにしています。


 ただ実際に自分の資産が上がったり下がったりすることを、「イメージすること」と「体験すること」では全く違います。急落を経験した後に、自分の投資方針があっているのかどうかをしっかり考えて、必要に応じて資産の配分や投資対象を変更することも必要でしょう。


 私たち証券に関わるアドバイザーは、常にお客さまの投資方針の確認が求められています。安定的な運用をしたいのか、値上がりを追求したいのか、バランスを取った投資をしたいのか。それによって投資対象や方法も変わってきますし、ご本人の主観での投資への考え方も理解しやすくなります。


 投資方針は年代や環境の変化によって変わることもありますが、基本的には軸となる考えなのであまりブレないことが重要です。


相場の急落は準備ができていればチャンスになる

 相場の急落や暴落は、その人の投資状況によって意味は大きく変わります。株式投資を中心に投資をしていても株式インデックス運用が中心なのか個別銘柄が大半を占めるのかによって資産の下落率も変わります。


 また他の資産にも分散投資をしていて影響がそれほど大きくないのか、または軽微で済んでいるのか、それとも投資用の現金に余裕がある状況でむしろ投資のチャンスなのか、など人によってさまざまです。


 急落などがいつくるかは分からない以上、結果的にどれが最も成果を上げられるかは分かりませんが、自分の投資目的にあった投資をしていなければ急落時には後悔が待っているでしょう。

相場の急落を経験するごとに自分にあった投資とは何かが分かってくると思います。


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(西崎努)

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