現在の主流は「2タイプのリチウムイオン電池」

 バッテリー式電気自動車(BEV)の普及や進化を語る上で、駆動用に搭載されるバッテリーの進化は外せない話題です。2026年5月現在、バッテリーに関する技術はどのような現状にあるのでしょうか。

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 昨今のBEVの駆動用として主流になっているのは、リチウムイオン電池というタイプのバッテリーです。

 大まかな説明ですが、リチウムイオン電池は、「正極」と「負極」、そしてその間にある「電解液(電解質の液)」や「セパレーター」と呼ばれる薄い膜で構成されています。充電や放電の際には、リチウムイオンが正極と負極の間を移動します。この動きによって電気を蓄えたり、取り出したりしているのです。

 次に、現在のクルマの駆動用に用いられているリチウムイオン電池には、主に「三元系リチウムイオン電池」と「LFP(リン酸鉄リチウムイオン電池)」の2種類が存在します。

 まず三元系は、正極にニッケルやコバルト、マンガンを用いたリチウムイオン電池で、エネルギー密度が高く、小型・軽量でも大容量化しやすいのが最大のメリットです。一方、熱管理がなかなかシビアなうえ、高価なニッケルやコバルトを使用するため、高コストになりやすいというデメリットもあります。

 対してLFPは、正極にリン酸鉄を用いるリチウムイオン電池です。希少金属への依存が少なく低コストなほか、熱暴走しにくく、長寿命なのがメリットです。しかしエネルギー密度が低いため、同じ容量を確保するにはバッテリーが大きく重くなってしまいやすいという課題があります。

 これまで多くの自動車メーカーが採用してきたのが三元系ですが、近年はLFPの採用も増えています。特に中国のBYDは、バッテリーのレイアウトで容量問題を解決、航続距離を確保したとしています。

また公式には明言されていないものの、日本ではスズキ「eビターラ」に、BYDの関連企業が製造したLFPが採用されているようです。

ゲームチェンジャーは「全固体電池」?

 このように、現在主流の三元系とLFPの双方には明確なメリット・デメリットもありますが、今後の“ゲームチェンジャー”になると言われているのが「全固体電池」という、新しいタイプのリチウムイオン電池です。

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日産は「リーフ」を筆頭に、BEVの開発力を強くアピールしている(乗りものニュース編集部撮影)

 前述のとおり、リチウムイオン電池は正極と負極のほか、電解質の液やセパレーターで構成されていますが、全固体電池は電解質が液体でなく固体で、文字通り“全固体”となっているのです。

 全固体電池の最大のメリットは、安全性と信頼性の高さでしょう。固体の電解質は科学的に安定していて安全性が高いのに加え、より高い温度でも動作が可能、またエネルギー密度を高めるうえでも有利です。安全性、充電性能、バッテリー容量と、BEVに必要なあらゆる性能を一気に高められるという点で、全固体電池はゲームチェンジャーと目されています。

 とはいえ、全固体電池は市販モデルへの搭載には至っておらず、まだ各社とも研究開発を進めている段階です。トヨタは2027~2028年ごろの実用化を目指し、協業や工場建設の動きを見せているほか、BYDも「2027年ごろに量産車へ試験的に搭載」するとしています。

 直近で大きな動きがあったのは日産です。同社は2028年度までの実用化に向けて全固体電池の開発に取り組んでいますが、さきごろ実車サイズで必要な充放電性能を達成したとのことです。

 このような流れを考えると、全固体電池のBEVは、2030年までには各メーカーから市販化されるのではないかと筆者(西川昇吾:モータージャーナリスト)は考えています。市販モデルへの搭載が実現すれば、高級志向のBEVは三元系に代わって全固体電池へ、ベーシック志向の安価なBEVはLFPで、という潮流になっていくことでしょう。

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