春のGⅠシリーズが中休みとなる今週、香港では春シーズンのクライマックスとされるチャンピオンズデーが4月26日に開催される。シャティン競馬場を舞台とした同開催では、チェアマンズスプリントプライズ(芝1200m)、チャンピオンズマイル(芝1600m)、クイーンエリザベスⅡ世カップ(芝2000m)と、3つの国際GⅠが行なわれる。

 いずれも世界的に注目度の高いレースだが、なかでもチェアマンズスプリントプライズは、目下の"暫定世界王者"カーインライジング(せん5歳/香港)が出走するとあって、世界中の競馬関係者、ファンから熱い視線が注がれている。

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 競馬には、オリンピックやワールドカップなどに相当する世界大会や、ボクシングの世界タイトル戦のような、世界の頂点を決するレースはない。それでも、国際競馬統括機関連盟 (IFHA)が発表する「ロンジンワールドベストレースホースランキング」によって、世界の競走馬が格づけされている。

 昨年度(対象期間:2025年1月1日~12月31日)の同ランキングでは、日本のGⅠジャパンカップ(東京・芝2400m)をはじめ、世界各国で4つのGⅠを制したカランダガン(せん5歳/フランス)がランキング1位に輝いた。

 そして今年、現段階で同ランキングの1位の座に就いているのが、カーインライジングである。

 香港は古くから「短距離王国」と称され、これまでも世界的な名スプリンターが次々に登場してきた。2000年代前半にはデビューから無傷の17連勝を記録したサイレントウィットネスが活躍。日本にも遠征し、2005年のGⅠスプリンターズS(中山・芝1200m)ではデュランダルら一線級のスプリンターを相手に完勝している。

 その香港で今、無類の強さを誇っているのがカーインライジング。2023年12月にデビューした同馬は、2戦目、3戦目では2着に敗れているものの、2024年2月の4戦目から現在まで19連勝中と、サイレントウィットネスの香港記録を更新。圧巻の成績を残している。チェアマンズスプリントプライズを勝てば、20連勝という大記録を樹立することとなる。

 しかも、その強さはいまだ増すばかり。年が明けてからも3戦3勝中だが、うち2戦で芝1200mと芝1400mのコースレコードを更新している。それも、ジョッキーが持ったままの馬なりで、だ。

 これまで破ってきた相手も決して弱くはない。

 今回も出走する日本のサトノレーヴ(牡7歳)は、今年のGⅠ高松宮記念(中京・芝1200m)で連覇を達成。昨年6月には英国のGⅠクイーンエリザベスⅡ世ジュビリーS(アスコット・芝1200m)でも2着に入り、世界的に見ても実力上位の存在だ。しかし、カーインライジングとの対戦では3着、2着、9着という成績に終わっている。

 また、地元香港のヘリオスエクスプレス(せん6歳)は、4歳三冠(香港のクラシックは4歳)のうち二冠を制しているが、カーインライジング相手には2着に甘んじたことが8度あるなど、すべての対戦で苦杯をなめている。

 さらに、カーインライジングは昨年10月にオーストラリアへ遠征。当地のスプリント戦最高賞金額レースであるGⅠジ・エベレスト(ランドウィック・芝1200m)に出走し、オーストラリアのトップスプリンターたちを難なく一蹴している。

 ここまで国内外のGIを8勝。その強さも、19連勝という成績も、何ら疑う余地はなく、世界ナンバー1ホースに君臨するにふさわしい馬だ。

 余談だが、こうした状況のなかで悲鳴を上げているのは、主催者である香港ジョッキークラブだ。これほど強い馬であれば、馬券の信頼度は当然高く、日本なら単勝や複勝が1倍の元返しとなることも十分にあり得る。だが、香港の馬券には元返しがなく、単勝では最低1.05倍、複勝でも最低1.01倍の配当がつく。つまり、この馬が馬券に絡めば、香港ジョッキークラブからの持ち出しが発生。赤字をこうむる状態が続いているのである。

 逆に言えば、香港の競馬ファンにとっては、こんなにも愛すべき存在はいない。となれば、日本にも遠征してきてほしいところだが、管理するデビッド・ヘイズ調教師は「まだ2~3年は、遠征は年に1回。ジ・エベレストに限りたい。(その間に)負けるようなことがあったりしたら、そのあとに(日本遠征を)考えたいね」とコメントした。

 さて、肝心のチェアマンズスプリントプライズだが、カーインライジングの20連勝はなるのか。はたまた、同馬が脅かすような伏兵の台頭はあるのか。

 結論から言えば、カーインライジングが負けることはゼロに等しい。

前出のサトノレーヴやヘリオスエクスプレスにしても、カーインライジングが普段どおりのレースを見せれば、今回も逆転するのは難しい。無論、他の馬が勝つチャンスも皆無と言っていいだろう。

「競馬に絶対はない」とはいえ、もしカーインライジングが敗れるようなことがあれば、それは何らかの大きなアクシデントがあった場合に限られる。カーインライジングが20連勝を達成する可能性は高い、というか、その確率は100%に近いのではないか。

 ちなみに、カーインライジングが勝利したレースは日本でも過去3回発売されていて、その単勝配当はすべて1.1倍だった。ならば、今回もそのオッズを期待して、王者の王者たる走りを堪能するのが、このレースの楽しみ方ではないだろうか。

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