3歳マイル王決定戦となるGⅠNHKマイルC(東京・芝1600m)が5月10日に行なわれる。

 過去10年の結果を振り返ってみると、7番人気以下の伏兵が馬券圏内(3着以内)に入った例が半数近い13回もある。

おかげで、3連単では10万円超えの高額配当が7回も出ており、うち2回は150万円超え。GⅠのなかでも"荒れる"レースとして知られている。

 はたして、今年はどうか。スポーツニッポンの"万哲"こと小田哲也記者はこう語る。

「過去10年で1番人気の優勝は、2016年のメジャーエンブレムだけ。現在、9連敗中です。一昨年の1着ジャンタルマンタル(2番人気)、2着アスコリピチェーノ(1番人気)という人気馬同士で決まったことは、ある意味で例外的なケース。今年も波乱含みのレースと見ています」

 それゆえ、小田記者は今回人気を集めそうなGⅠ朝日杯フューチュリティS(以下、朝日杯FS。12月21日/阪神・芝1600m)の覇者カヴァレリッツォ(牡3歳)にも懐疑的な目を向ける。

「前走のGⅠ皐月賞(4月19日/中山・芝2000m)で13着惨敗。ここまで負けてしまった一番の理由は、距離にあったかもしれません。ですが、カヴァレリッツォは好位3番手を追走。

逃げたロブチェンが勝ったように、レース自体は前に行った馬にとって、決して厳しいペースではなかっただけに、負けすぎの感は否めません。

 皐月賞組の巻き返しは確かによく見られますが、過去10年で上位入線を果たしたのは、2016年2着のロードクエスト(皐月賞8着)、2019年1着のアドマイヤマーズ(皐月賞4着)、2024年1着のジャンタルマンタル(皐月賞3着)、昨年2着のマジックサンズ(皐月賞6着)の4頭。ふた桁着順に沈んだ馬が反撃し、NHKマイルCで馬券に絡んだ馬は1頭もいません。

 また、マジックサンズを除く3頭は、東京・芝レースでの連対実績がありました。カヴァレリッツォは"皐月賞ふた桁着順""東京コース未経験"と、データ的にも苦戦必至。朝日杯FSでは圧倒的な脚力で勝っていますが、積極的には推しにくい存在です。

 同じ皐月賞組のアドマイヤクワッズ(牡3歳)も、同レースで15着と大敗。ふた桁着順に沈んで逆襲は厳しいと思われますが、こちらは東京・芝1600mの新馬戦を勝っている点がプラス要素です。適距離のマイル戦に戻って、どこまで巻き返してくるのか、注目されます」

 人気が予想される皐月賞組が絶対視できないとなれば、やはり今年も波乱の目は十分にある。そうした状況にあって、小田記者は2頭の激走候補をピックアップした。まず1頭目は、フクチャンショウ(牡3歳)だ。

【競馬予想】NHKマイルCは今年も100万馬券が飛び出すか!...の画像はこちら >>
「前走のGⅢファルコンS(3月21日/中京・芝1400m)で3着。
当然、同レースを完勝したダイヤモンドノット(牡3歳)のほうが人気になるでしょうが、フクチャンショウも最後はダイヤモンドノットを追うように伸びて、2着争いに加わる勢いでした。

 乱暴な言い方かもしれませんが、ダイヤモンドノットとの差は"1400mの適性の差"かも、と見ています。マイル戦となれば、その差が縮まる、あるいは、逆転する可能性があってもおかしくありません。

 加えて、強調すべきは最終追い切りのすばらしさ。体を大きく使って、躍動感のある動きを披露。余力を持ってパートナーと併入していました。

 同馬を管理する加藤征弘厩舎はそこまで派手に時計を出す厩舎ではありませんが、6ハロン82秒9-1ハロン11秒5なら、時計的にも言うことなし。加藤調教師も『状態は非常にいいです』と太鼓判を押していました。

 昨夏の新馬戦で430kgだった馬体重も、ファルコンS時には450kg。確実に体力はアップしています。

 父イスラボニータは3歳時、皐月賞1着、GⅠ日本ダービー(東京・芝2400m)2着とクラシック路線を歩んでいきましたが、古馬になってからはマイル路線で活躍。血統的にも申し分ありません。

 週末は好天が予想され、『きれいな跳びをするので、硬い芝が理想。そういった馬場なら、最後は脚を使えます』という加藤調教師の願いも叶いそう。昨年の覇者パンジャタワーもファルコンS(4着)からの臨戦で、フクチャンショウもノーチャンスではないと思っています」

 小田記者が推奨するもう1頭は、GⅡニュージーランドT(4月11日/中山・芝1600m)3着からの参戦となるジーネキング(牡3歳)だ。

「前走のニュージーランドTでは、それまでの前で粘るイメージから一新。先団の後ろでうまく折り合いをつけて、最後に脚を伸ばす好内容のレースを見せました。脚質転換に成功したうえ、初めてのマイル戦にも対応できたことは大きな収穫でした。

 管理する斎藤誠調教師も、『タメれば(最後に)脚を使うのがわかりました。東京ならメリハリが利いた競馬ができそうです』と手応えを得ていました。中間の気配もよく、斎藤新騎手が騎乗した1週前追い切りでは、ラスト1ハロンが10秒8。前半で脚を温存すれば、ラストで弾けるのは追い切りでも体現した形です。

 見た目にも、いい意味で体が締まって筋肉のメリハリも際立っていました。状態としては(前走から)さらに一段上がった印象です。

 父はこの世代が初年度産駒となるコントレイル。先日のGⅡ青葉賞(4月25日/東京・芝2400m)でゴーイントゥスカイが勝利し、産駒初の重賞勝ちを決めました。同産駒は2歳戦からバリバリ活躍する早熟型ではなく、着実に力をつけていく"成長型"なのは間違いないでしょう。

 ジーネキングも昨夏の福島でデビューし、レースをこなすごとに地力が強化されてきました。馬体重もデビュー時の478kgから前走では494kgまで増加。その走りからは迫力が感じられます。

 東京コースの経験はありませんが、同じ左回りの新潟の未勝利戦(外回り・芝1800m)で2着、1着と結果を残しており、まったく問題はありません。5戦連続の重賞出走のキャリアもアドバンテージになると見て、一発への期待が膨らみます」

 3歳馬によるマイルの頂上決戦。再び"大荒れ"の決着となるのか。熾烈な争いから目が離せない。

編集部おすすめ