残り2戦となった春のGⅠシリーズ。今週行なわれるのは、春のマイル王決定戦となるGⅠ安田記念(6月7日/東京・芝1600m)だ。

 NHKマイルCから始まった東京競馬場での5週連続のGⅠ開催。戦前、ここまでのレースはすべて「混戦」と言われてきたが、安田記念もそれらと同様というか、それ以上の「大混戦」となっている。『勝馬』の野口誠記者もこう語る。

「昨年のこのレースとGIマイルCS(京都・芝1600m)を制したジャンタルマンタルが不在。前走のGⅡマイラーズC(4月26日/京都・芝1600m)を快勝して復活の狼煙を挙げたアドマイヤズームも直前に離脱し、明らかに混戦ムードです」

 また、過去10年の結果を振り返っても、1番人気はわずか1勝。2着3回、3着4回と軸としては安定した成績を残しているが、頭(1着)として考えると、その信頼度はかなり乏しい。それでいて「混戦」となれば、波乱の匂いがプンプンする。実際、野口記者は上位人気が予想される面々について、懐疑的な目を向ける。

「昨年の春秋マイルGⅠで、ともに2着となったガイアフォース(牡7歳)は実績上位かもしれませんが、すでに7歳。ドバイからの遠征帰りというのも気になります。トロヴァトーレ(牡5歳)にしても、GⅢ東京新聞杯(2月10日/東京・芝1600m)、GⅢエプソムC(5月9日/東京・芝1800m)と連勝していますが、能力が抜けているとは思えません。

 最終的に勝敗を分けるのは、枠順や流れ。

加えて、週中の台風の影響などからして、道悪の巧拙になると見ています」

 そこで、野口記者は「いずれも調子がよく、ここに標準をピタリと合わせてきた」という3頭をピックアップした。1頭目は、リステッド競走の洛陽S(2月14日/京都・芝1600m)、GⅢダービー卿チャレンジトロフィー(4月4日/中山・芝1600m)と連勝中のスズハローム(牡6歳)だ。

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「今年に入って、9着、1着、1着という成績。すべてマイル戦で、3戦ともメンバー最速の上がりをマークしています。以前に比べると、無駄な仕草がなくなり、競走への集中力が増してきました。それが、終(しま)いのキレにつながっているのではないでしょうか。

 昨年まではおおむね450kg台だった馬体重も460kg台となり、体に厚みが加わってきました。6歳となりましたが、今がキャリアのピークと見ていいでしょう。もし道悪が残って直線で馬群がバラけるようなら、突き抜けてもおかしくありません」

 野口記者が推奨する2頭目は、シックスペンス(牡5歳)だ。

「シックスペンスは国枝栄厩舎の定年・解散によって、この春から田中博康厩舎にやってきました。同じ国枝厩舎の管理馬だったステレンボッシュ(牝5歳)が宮田敬介厩舎に移って、前走のエプソムCで2着と好走。それと同じように、転厩による調教方針と調教方法の変化が、シックスペンス復活への引き金になるかもしれないと感じています。

 現に、GⅠチャンピオンズC(11着。12月7日/中京・ダート1800m)やGⅠフェブラリーS(9着。2月22日/東京・ダート1600m)では折り合いを欠いていましたが、前走のマイラーズCでは中団で折り合えていました。

 着順は7着に終わったものの、内有利のトラックバイアスがあったなか、8枠16番という外枠発走で勝ち馬とコンマ4秒差なら悪くありません。最後もしっかり脚を伸ばしてきましたからね。

 この中間も内へモタれる癖を出さず、力強く動けていました。マイルでも勝ち鞍があり、ここで大復活があっても驚けません」

 野口記者が注目する最後の1頭は、オフトレイル(牡5歳)だ。

「昨秋のマイルCS(4着)では、ゴール前の伸びが一番目立っていました。2走前の東京新聞杯(10着)は明らかに仕上がり途上。前走のマイラーズC(5着)はスローな流れで前が粘り込める展開と、ここ2戦の敗因ははっきりしています。

 過去、高速決着にも対応していますが、走りそのものはピッチ走法で、おそらく道悪は"鬼"の部類。消耗戦になったときには、一気に台頭してくると思います」

 確固たる主役が不在のマイルの頂上決戦。

ここに挙げた3頭が混戦を断って、好配当をもたらす可能性は十分にある。

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