憲法改正、高市首相「時は来た」と意欲も…実現の“ハードル”は? 改憲の“手続き”が厳しく定められているワケ
4月12日、高市早苗首相の就任後としては初めてとなる自民党の党大会が都内のホテルで開かれ、高市首相は「日本人の手による自主的な憲法改正は党是だ」「改正の発議にめどが立った状態で来年の党大会を迎えたい」と語り、憲法改正(改憲)への意気込みを示した。
「議論のための議論であってはならない。
国民の負託に応えるためには、決断のための議論を行うべきだ」(高市首相)
一方で、改憲に反対するデモ活動も盛んに行われている。報道によると、4月19日に国会前で行われた「NO WAR!憲法変えるな!4・19国会正門前大行動」には約3万6000人が参加した。同日には北海道や大阪など全国各地でもデモが開催されている。
きょう、5月3日は憲法記念日。1947年の同日に日本国憲法が施行されたことを記念し、1948年に制定された。自民党などが改憲に向けた動きを本格化させており、それに反対する運動も勢いを増しているいまこそ、憲法改正の手続きはどのように進むのかを確認してみよう。

憲法改正:「発議」から「公布」または「廃案」までの流れ

そもそも、憲法改正の手続きは一般の法律と比べて非常に厳格なものとなっている。なぜなら、憲法とは、国民の権利・自由がみだりに侵害されないために、国家権力が守るべき規範として位置づけられているからである。
憲法を改正しようとするときには、まず、法律で定める一定数(衆議院100人以上、参議院50人以上)の国会議員の賛成により、憲法改正案の原案(憲法改正原案)が発議される。発議は、内容において関連する事項ごとに行わなければならない。
たとえば、ある党が、現行憲法を廃止し、すべて自党の憲法草案の内容に置き換えようとする場合、一度の投票でそれを行うことは不可能である。
この憲法改正原案は、衆議院憲法審査会及び参議院憲法審査会で審議され、衆議院本会議及び参議院本会議にて、それぞれ総議員数の3分の2以上の賛成を得られたら可決となる。
いずれか一方でも要件を満たさない場合、国民投票に進むことはできない。
両院で可決した場合は、国会が憲法改正の発議を行い、国民に提案したものとみなされる。
次に行われるのは国民投票だ。憲法改正を発議した日から起算して60日以後180日以内において、国会が議決した期日に国民投票が行われる。
なお、憲法改正の発議が行われた段階で、憲法改正案の内容を国民に知らせるための「国民投票広報協議会」が、各議院の議員から委員を10人ずつ選任して、設置される。
同協議会は憲法改正案の内容や賛成・反対の意見などの情報を掲載した「国民投票公報」の原稿作成、投票所に掲示する憲法改正案要旨の作成、憲法改正案などを広報するためのテレビ広告や新聞広告などを行う。
そして政党やその他の団体、マスコミや個人は、憲法改正案に対し賛成または反対の投票をする、あるいは投票しないよう勧誘する「国民投票運動」を、一定のルールのもとに行うことができる。
ただし、投票期日の14日前からは、期日前投票が可能になることに合わせ、国民投票広報協議会が行う広報のための放送を除き、テレビやラジオの広告放送は制限されるなどの規制も存在する。
投票当日は、国民投票にかかる憲法改正案ごとに、1人1票を投票できる。投票用紙には、賛成の文字及び反対の文字が印刷され、憲法改正案に対し賛成する場合は「賛成」の文字を〇で囲み、反対する場合は「反対」の文字を〇で囲み、投票箱に投函(とうかん)する。
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憲法改正・国民投票の投票用紙(総務省

投票の権利は、投票期日の時点で年齢満18歳以上の日本国民すべてが有する。通常の国政選挙と異なり、禁錮以上の刑の執行を受けて公民権が停止されている人も投票可能だ。

また、通常の国政選挙などと同じく、期日前投票(14日前から)や不在者投票、在外投票なども認められている。
そして、憲法改正案に対する賛成の投票の数が投票総数(賛成の投票の数及び反対の投票の数を合計した数)の2分の1を超えた場合、「国民の承認があった」とされ、内閣総理大臣は直ちに憲法改正の公布のための手続きをとることになる。
賛成が2分の1を超えなかった場合は「国民の承認がなかった」とされ、改正案は「廃案」となる。この場合、再び改憲を行おうとするなら、国会で改正案を新たに発議することから手続きを踏みなおす必要がある。
なお、改憲手続きにおいては「最低投票率」の規定はない。つまり投票率が低かった場合でも、そのなかで賛成が2分の1を超えたなら「国民の承認があった」とされることになる。
現在の日本国憲法は、来年で施行から80周年を迎える。それまでに憲法改正原案が発議されるかどうかも、まだわからない。もし、衆院・参院での可決を経て国民投票となった場合、投票のその日まで、選挙権を持つ人は自分の一票をどのように活かすか、慎重に考えておこう。


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