クラウドサービスの再販売を主力とする「サーバーワークス」事業方針を変更 AI関連企業を子会社化へ

クラウドサービス(ネット経由でサーバーやソフトウエアを利用する仕組み)の再販売を主力に、クラウドへの移行や監視などを手がけるサーバーワークス<4434>は、将来のAI(人工知能)収益を最大化するため、リセール(クラウドサービスを再販売する事業)の事業方針を変更した。

利益率を重視する従来の方針を見直し、利益率の低下を受け入れてでも大企業向けの大口案件を獲得し、シェア拡大を優先する。


リセールで大企業向けの顧客基盤を広げたうえで、将来のAI収益につなげるのが狙いだ。

この方針に沿って、サーバーレス(サーバー管理をクラウド側に任せてアプリケーションを動かす仕組み)と生成AI領域に強みを持つRagate(東京都中央区)を子会社化する。

同社は2027年2月期を「AIの実装による飛躍的成長への準備期」と位置付けており、今後もM&AをはじめAI強化に向けた動きが続く可能性がある。

飛躍的成長への準備期

サーバーワークスは、AWS(米アマゾン・ウェブ・サービスが提供するクラウドサービス)を中心に事業を展開している。

主力はクラウドサービスを再販売するリセールで、売上高の約90%を占める。このほか、クラウドインテグレーション(クラウド環境への移行や設計、構築支援など)が約6%、MSP(クラウド環境の監視、運用、保守など)が約4%となっている。

クラウドサービスの再販売を主力とする「サーバーワークス」事業方針を変更 AI関連企業を子会社化へ
サーバーワークスの売上高構成比

同社は2026年4月に発表した「中期経営方針における数値目標の更新に関するお知らせ」で、2027年2月期を「AIの実装による飛躍的成長への準備期」と位置付けた。

この方針に基づき獲得を進める大企業向けの大型案件は、短期的にはリセールの利益率の低下を招くものの、AIが稼働する土台を先行して押さえることで長期的なLTV(顧客と長期にわたって取引することで得られる収益)の最大化を目指す戦略だ。

Ragateの案件は、この方針変更後の初のM&Aで、まずは20%の株式を取得し、段階的に完全子会社化を進める。

Ragateは、AI活用戦略の策定や実行支援を中心に、クラウド移行、画面設計、ITデューデリジェンス(買収前のシステム調査)、DIGITAL PMI(買収後のシステム統合支援)まで幅広く手がけている。

独自のAIエージェント(指示に沿って作業を自律的に進めるAI)や、生成AIを使った開発ツールを活用し、業務の効率化と顧客のコスト削減を支援しており、戦略立案から技術実装まで一貫して支援できる体制を強みとする。

今回のRagate案件は、生成AI、サーバーレス領域の技術を取り込むとともに、リセールで獲得した顧客基盤にAI関連収益を積み上げるという新たな戦略に沿ったM&Aとなる。

M&Aを含めた投資を継続

サーバーワークスがこれまでに適時開示したM&Aは、2022年のGoogle Cloudを活用したシステム・アプリ開発を手がけるトップゲートの子会社化の1件にとどまる。

サーバーワークスとトップゲート両社の営業協力、エンジニア体制の増強・補完などを通じて、2021年に参入したGoogle Cloud事業の成長につなげるのが狙いだ。

2024年には、トップゲートを存続会社として、子会社のG-genを合併し、社名をG-genに変更した。

一方、サーバーワークスは2022年に、サービス体制の強化や顧客基盤の獲得などに寄与する技術やサービスを保有する企業への投資やM&Aを目的とした、投資目的子会社SXイノベーション・パートナーズ(現 サーバーワークス・キャピタル)を設立した。

サーバーワークス・キャピタルは投資先として、AIを活用したコンサルティング、システム開発などを手がけるアルターデザインコンサルティングや、外食企業向け業務支援クラウドサービスの開発、販売、運用支援のGoalsなどをホームページで公表している。

今後もサーバーワークスが目指すAI収益の拡大に向け、M&Aを含めた投資の継続が見込まれる。

クラウドサービスの再販売を主力とする「サーバーワークス」事業方針を変更 AI関連企業を子会社化へ
サーバーワークスの沿革と主なM&A

サーバーワークスは、2027年2月期に売上高471億8400万円(前期比17.9%増)、営業利益13億1000万円(同2.09倍)を目標に掲げる。

2027年2月期の増収増益計画には、リセールのシェア拡大を起点にAI関連収益を積み上げる戦略の進展が重要な要素となる。

文:M&A Online記者 松本亮一

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