俳優の染谷将太が公開中の映画『廃用身』で、主人公の医師・漆原糾を演じている。久坂部羊の小説デビュー作の映画化で、超高齢社会に突入し、終末医療などにも注目が集まっている現在、今の日本社会と不気味なほど地続きのテーマを内包しているヒューマンサスペンスだ。
主人公の漆原は、自身のクリニックで考案した画期的な治療を推進する医師だ。究極のコスパの良い介護を目指すその医療行為は、<廃用身>(麻痺などにより、回復見込みがない手足のこと)をめぐる、従来の常識を覆すものだが、染谷は「この主人公を演じるにあたっては、自分としてもかなり覚悟がいるなと思いました。不安もありました。でも、吉田光希監督と一緒なら挑戦する意味があると思えたんです」と当時の心境を述懐する。
漆原は、医療の限界を超えたいと力強く訴え、理想を追い求めるあまり、合理性と狂気の危うい狭間へと踏み込んでいってしまう。染谷の怪演も話題になっているが、彼を異常な人物として演じていないと染谷は言う。「病的な人物として演じるつもりはなかったです。彼は本気で社会に尽くしたいと思っている。その軸だけは絶対にブレないようにしました」。
吉田監督からも「周囲が何も言えないくらい、説得力を持って演じてほしい」と言われていたという。「僕のセリフって、ほとんどAケアについて説明しているんですよ。
そしてその誠実さを観客がどう受け取るかは、人それぞれだと染谷は語る。「誠実だと思う人もいるでしょうし、違うと思う人もいるかもしれない。でも、彼自身は本気で誠実なんです。観た人によっていろいろな感情を引き出せる映画になっているんじゃないかなと思います」。
映画『廃用身』は染谷のほか、北村有起哉、六平直政、瀧内公美など豪華キャストが脇を固めるヒューマンサスペンス。全国順次公開中。
■ストーリー
ある町のデイケア「異人坂クリニック」に通うお年寄りの間で、漆原院長(染谷将太)が考案した“画期的な”治療が密かに広まっている。究極のコスパの良い介護を目指すその医療行為は、<廃用身>(麻痺などにより、回復見込みがない手足のこと)をめぐる、従来の常識を覆すものだという。その結果、「身体も心も軽くなった」、「厳しい性格が柔らかくなった」などと予想外の“好ましい副作用”が現れたという。噂を聞きつけた編集者・矢倉は、老齢期医療に革命を起こす可能性を感じ取り、漆原に本の出版を持ちかける。しかしやがて、デイケアに関するとある内部告発が週刊誌に流出。さらに、患者宅で起きた衝撃の事件をきっかけに、すべてが暗転していくーー
(C) 2025 N.R.E.
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