帰宅ラッシュの時間で道路は混みあい、通行する自動車はノロノロ運転を強いられていた。そんな時、交差点にさしかかったタクシーが急ブレーキを踏んだ。すぐ後続の乗用車は急停止して衝突を回避したが、その次の3台目の乗用車は間にあわなかった。停止したばかりの前方の乗用車に追突。玉突き状態になって、2台目の乗用車は先頭のタクシーに追突した。
駆けつけた警察官に対して、2台目の乗用車を運転していた男性は「オレのせいじゃない」、「買ったばかりの車なのに」と悔しがった。最後尾の車の運転手は、車間距離を十分にとっていなかったなど、自分の運転に問題があったことを認めた。
問題は先頭のタクシーだった。なぜ、急ブレーキを踏んだのかと警察官が問い詰めると、運転手は奇妙な笑いをしはじめた。恥ずかしそうな顔つきで、「その……、横断歩道の階段の上に、女がいたんですよ」と言い出した。
運転手は急に饒舌(じょうぜつ)になった。「超ミニスカートでね。スラリとして色白だったなあ。長い髪が風に吹かれていた」、「いい女だった。男だったら、だれでも眺めていたくなりますよ」などと、自分の見た光景を詳細に説明しだした。
道が混んでいて、それほどスピードを出していなかったこともあり、油断した。通り過ぎた後も、運転席から振り返るように歩道橋を見上げていた。「まずいかな」と思って前方を見ると信号が黄色に変わっていた。慌てて急ブレーキを踏んだ。
「ドン!」、「ドン!」と轟音(ごうおん)2発が連続した。最初の轟音の時には衝撃を感じなかったが、その直後の次の轟音と同時に、後ろから別の車がぶつかったことを感じた。自動車3台の玉突き衝突だった。
警察官は「黄色信号をないがしろにしなかった点は認めよう」と言ったあとで、「それにしても、運転に集中していなかった点は、大問題だ」と、タクシーの運転手に“厳しい教育”をほどこしたという。
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◆解説◆
久米仙人は天平年間(729-749年)に生きたとされる伝説上の人物。奈良県橿原市にある久米寺の開祖とされる。「飛行の術」を行っていたところ、洗濯する若い女性の白い脛(はぎ)に見ほれて神通力を失い、墜落したとのエピソードが有名。(編集担当:如月隼人)











