2026年7月29日、米男性ファッション誌「GQ」の台湾版は、「『鬼滅の刃』のすごさとは? 台湾のビジュアルデザイナーが語るアニメの魅力」と題し、台湾のデザイン会社・物以類聚視覚整合有限会社の創業者でビジュアルデザイナー、アニメファンとしても知られる子麺氏へのインタビューを掲載した。

記事によると、子麺氏はまず「人でも物でも、その中身を知らない段階では『パッケージ』が最初の入り口になる。

店構えが魅力的だから入ってみたくなる飲食店もあれば、パッケージに惹かれて思わず手に取る商品もある。映像作品におけるタイトルロゴも同様であり、その作品の世界観や物語を想像させる重要な要素である」と述べたという。

では、優れたタイトルロゴには何が求められるのか。子麺氏は「『読めること』を重視している。ただ眺めるだけではなく、自然に読めること。そして、その文字自体に物語があり、作品内容と結び付いていることが何より重要である。その次に来るのが美しさだ。美しさは人それぞれなので、それだけではデザインの責任は果たせないと思っている」と回答した。

ただ、デザイナーの視点から見ると「鬼滅の刃」のタイトルロゴにも改善できる点があるとし、文字を見る際には余白を重視すると説明。「滅」の文字は線が細く、小さなグッズなどでは潰れて見える可能性があるほか、「滅」と「刃」のサイズバランスや複数の書体が混在している点、「鬼」の文字の空間処理などについても気になると指摘した。

一方で、アニメファンとしてはまた別の考えを持っているとし、「原作者の仕事は物語を作ることであり、ロゴデザインは専門ではない。だから多少デザイン的に粗削りでも、それが原作者自身によるものなら価値がある。

ファンとしては、何よりもオリジナルであることが大切なのだ」と論じた。

子麺氏は、これらの根底にあるのはデザインとアニメへの深い愛情から生まれるものだとし、作品そのものについては「テンポが良く無駄な引き延ばしがない。大胆な画面構成も魅力的だ。漫画ではコマの中で止まっている迫力が、アニメではスピードや刀を振る力強さまで伝わってくる」と評価した。

また、作品のエンドロールも最後まで欠かさず見ると明かし、「スタッフロールには、美術設定をはじめとする制作スタッフの名前や設定画など、作品作りの過程を知ることができる『宝物』が詰まっている」と説明。「数え切れない修正を経て現在の完成形に至ったことが分かるため、クリエイターには深い敬意を抱いている」と語った。

「鬼滅の刃」以外でおすすめの作品について尋ねられると、子麺氏は「チ。―地球の運動について―」を挙げ、「人類がなぜ偉大なのか、その理由を『なぜ』という問いから掘り下げている作品である。その答えの裏には、数え切れない犠牲や試行錯誤、そして命がある。熱いモノローグも多く、知識量も豊富で、文学作品として読めるほど深い。私自身の価値観や起業にも大きな影響を与えた作品だ」と明かした。

また、「HUNTER×HUNTER」についても「何度でも好きになれる作品」と表現し、「幽☆遊☆白書」の頃から富樫義博氏の作品を追い続けていると述べた。

「ラフ画のような作画が物議を醸すこともあるが、一コマ一コマの構図はいずれも卓越しており、欠点さえ魅力へと変えてしまう作家だ」と称賛している。

子麺氏は自身についても語っている。当初は商学やプログラミングを学び、デザインとは無縁だったが、兵役中に絵を描いていたことがきっかけで美工兵へ配属された経験が転機となった。その後、本格的にデザインを学び、現在の会社を設立したという。また「ONE PIECE」の影響で「会社では皆から『船長』と呼ばれている。本当に中二病みたいな話だが、仲間が成長していく姿を見る方が、自分だけが成長するよりずっとうれしい」と話した。

会社の文化について尋ねられると、子麺氏は「愛」と即答したという。記事は「ありきたりな言葉ではあるものの、最もシンプルな価値観ほど実践することは難しい」とし、最後に「人のためにすることは結局、巡り巡って自分のためにもなっている」という「鬼滅の刃」に登場するセリフを引用して、子麺氏が大切にしている価値観を紹介した。(翻訳・編集/岩田)

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