中国国営の中央テレビ(CCTV)は、中国で電気自動車(EV)の使用済み駆動用バッテリーが分解・再生され、電動バイク向けバッテリーとして市場に流通している実態を報じた。

CCTVの報道番組「財経調査」が取材したところによると、「小哈換電」や「台鈴」など複数の有名なバッテリー交換ステーションや、一部の販売店、ライダー向けサービス店では、60Vや72Vといった規格外のリチウム電池を貸し出しており、国家基準である48V以下の適合電池は扱っていなかった。

電動バイクでこれらの高電圧バッテリーを使用するには車両の改造が必要となるが、「小哈換電」のサービスセンターでは20元(約470円)で改造サービスを提供しており、数分で作業が完了するという。業界関係者によると、利益追求のため交換ステーションへ規格外バッテリーを投入したり、市場拡大のため事業者が利用者に対して改造を積極的に勧める事例も確認された。

また、規格外の高電圧バッテリーを独自に製造・販売している企業もあった。広西鴻盛新能源有限公司の関係者によると、同社は外部から調達した電池セルを組み立て、国家基準の上限を上回る電圧のリチウム電池を製造している。こうした製品はネット販売を通じて個人向けに提供されるほか、一部のバッテリー交換サービス事業者にも供給されているという。

新エネルギー車(NEV)の使用済み駆動用バッテリーが分解・再生された後、電動バイク市場へ流入している実態も明らかになった。2024年1月、上海慧鎔再生能源有限公司は、中国工業情報化部から使用済み新エネ車バッテリーの総合利用に関する基準適合企業として認定された。

中国の規定では、再利用された新エネ車の使用済みバッテリーを電動自転車等に使用することは禁止されている。ところが、同社の南寧市江南区にある工場では多数の作業員がバッテリーを組み立てており、営業担当者は「新エネ車の使用済みバッテリーの回収・再利用が主要事業の一つである」と説明した。工場の責任者は「EVから取り外した使用済みセルの大半が再生され、電動バイク用バッテリーとして利用されている」と述べた。

さらに、深セン衆投新能源有限公司のように、新エネ車から取り外したセルのみを販売する企業も存在する。同社の責任者は「こうしたセルは二輪・三輪の電動車両に使用できる」と説明した上で、「この事業では監督当局の取り締まりを回避することが重要」と語ったという。

報道では、監督を逃れるため山間部に設置された分解工場の例も紹介された。工場の外周はテントで覆われていたが、内部には大量の使用済みバッテリーが保管されていた。これらは分解、加工などの工程を経て、規格外リチウム電池の原材料として市場へ流通していたという。

統計によると、電動バイクによる火災の約33%は違法改造されたバッテリーが原因とされる。また、改造バッテリーによる火災のうち約80%で使用されていたセルは、新エネ車の使用済みバッテリーに由来していた。中国の関連法では、いかなる組織・個人も、使用済みバッテリーを直接または加工したうえで電動自転車など、法律や行政法規、強制規格で使用が禁じられている分野に利用してはならないと定めている。(翻訳・編集/北田)

編集部おすすめ