中国メディアの第一財経は27日、「配車サービスの王者」が既存バッテリーの潜在リスクに苦慮しているとする記事を掲載した。

記事によると、浙江省の配車サービス運転手である呉(ウー)氏が営業用に購入した2023年6月登録で走行距離23万キロの「AION S」に今月初め、システム障害が発生した。

診断の結果、動力用バッテリーに不具合(データ取得用配線の断線、絶縁不良、バッテリーの膨張や液漏れなど)があることが判明した。販売店は、パワートレイン・アセンブリ全体の交換が必要で、その費用8万元(約192万円)は所有者の負担になると説明した。この車両には、中創新航科技(CALB)製の177Ahリン酸鉄リチウム(LFP)バッテリーが搭載されている。販売店が「バッテリーの品質欠陥」であると認めたことから、呉氏は不具合の責任はメーカー側にあるとし、バッテリーの無償交換を求めた。

第一財経が黒猫投訴など複数の消費者苦情受付サイトを調べたところ、配車サービスに従事する「AION S」のドライバー100人余りが、呉氏と同様の動力用バッテリーの不具合を経験していることが判明した。

大規模な苦情を受け、車両を製造した広汽埃安は、車両保証期間を「8年15万キロ」から「8年30万キロ」に延長するとともに、バッテリー点検を強化し、その結果に応じて無償修理やバッテリー交換を行うと提案した。CALBも、広汽埃安の販売店と連携して保守・サービス対応を開始したと表明した。しかし、対象となる車種やバッテリーのリコールが実施されるかどうかについては、依然として明確な発表はないという。

これ以前にも、吉利(ジーリー)や理想汽車(リ・オート)、比亜迪(BYD)などの自動車メーカーが、バッテリーの不具合を理由とするリコールを実施している。膨大な数の既存バッテリーに対する保証の扱いが問題化していて、国の新たな標準は登録済みの車両については遡及適用されないという点が潜在リスクを顕在化させており、この状況をどう解決するかが、業界における新たな焦点となっているという。

AION Sシリーズは、広汽埃安が配車サービス市場でシェアを拡大する上で重要な原動力となってきた。自動車業界団体である中国自動車流通協会乗用車市場情報連席分会の崔東樹(ツイ・ドンシュウ)秘書長によると、2023年に全国の配車サービス用車両として新たに導入された新エネルギー車(NEV)は74万台に上り、うちAIONが約22万台で最多だった。

保険登録データによると、広汽埃安の販売台数は23年に過去5年間で最多を記録した。同年販売した44万台超の新車のうち50%超がリース契約によるもので、特にAION Sは配車サービス市場において72%という高いシェアを占めているという。(翻訳・編集/柳川)

編集部おすすめ