2026年7月31日、仏国際放送局RFI(ラジオ・フランス・アンテルナショナル)の中国語版サイトは、中国で非致死性の希少遺伝病を患う6歳の女児が遺伝子治療後に死亡した事象の問題性について報じた。

記事によると、中国で2025年3月に6歳の女児が、ゲノム編集技術を用いた実験的遺伝子治療の臨床試験を受けた1週間後、重篤な合併症により死亡した。

この女児が患っていたのは、世界に300例未満とされる非致死性の希少遺伝病「スナイデルス・ブロック・カンポー症候群」であり、本来は長期生存が可能であったという。

また、死亡した女児には腎臓の損傷が見られ、これは事前の動物実験で1匹のサルに確認されていた症状と同様だった。臨床試験の前に外部企業に委託されたサル4頭の毒性試験において、すべてのサルに肝臓の損傷、一部に腎臓の損傷という重篤な副作用が確認されていたとのことだ。

記事は、研究者側が上海交通大学医学院附属新華医院の倫理委員会にこの重要な毒性データを提出しないまま人体試験の承認を得ており、審査が完全に形骸化していたと指摘している。

さらに、研究を担当した同院の神経学者・仇子龍(チウ・ズーロン)氏が、関連する研究と技術開発の支援費として、女児の両親から約75万6000ユーロ(約1億2000万円)のほかiPhoneや高級酒であるマオタイ酒などの物品が提供されていたという情報にも言及。研究の独立性が大きく歪められる利益相反の懸念があったとも報じた。

このほか、女児の死亡後にその事実が一切公表されず、米国臨床試験登録サイトの情報更新も行わずに隠ぺいされていたことも指摘。女児の両親が論文の撤回を求めたものの、研究者側は今年2月に論文を学術誌「Nature(ネイチャー)」に掲載した上、原稿段階では存在した患者に関する詳細な記述などを削除していたと伝えた。

記事は、パリ・イマジン遺伝病研究所のバナ・ジャブリ所長が、女児の疾患は非致死性であり超高リスクな臨床試験を行う必要性はなかったこと、サルの実験で重篤な副作用が出た段階で試験を中止し原因究明を行うべきであったことを指摘したと紹介した。

また、中国には臨床試験を独立して承認・監督する国家レベルの第三者機関が欠如しているとの見解も示されており、フランス国立保健医学研究所(Inserm)倫理委員会のエルベ・シュネバイス委員長が、死亡事故の隠蔽は医学倫理と科学の誠実性に対する最低限の原則への裏切りだと非難したとも伝えている。(編集・翻訳/川尻)

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