2026年7月28日、米男性ファッション誌「GQ」の台湾版は「『鬼滅の刃』は時代を再定義したのか?『友情・努力・勝利』で読み解く日本漫画の黄金法則」と題した記事を掲載した。
記事は、「『週刊少年ジャンプ』が読者に残した最大の財産は、作品の根底に流れる『友情・努力・勝利』という3つの価値観である。この3原則は『週刊少年ジャンプ』成功の黄金法則として語られることが多いが、本当にそうなのだろうか。1968年7月の創刊から約10年間に掲載された作品には、3原則がそろった作品はほとんど見られなかった。60~70年代の作品では、主人公の多くが孤高の存在であり、生まれながらに強大な力を持っていたり、呪いによって特別な能力を得たりしていた。そのため、努力によって力を身につける描写は少なかった」と説明した。
そして、「当時人気だったスポーツ漫画は、一見すると『努力』と『勝利』を描いているようにも見えるが、読者が求めていたのは勝利そのものではなく、主人公が汗や涙を流す姿だった。その本質は『根性』にあり、その根性を最も際立たせるのは、主人公がすべてを犠牲にして戦い抜く姿勢であった。友情や恋愛、笑顔でさえ、根性を描く上では障害とみなされることもあったのだ。72年に人気を博した中島徳博氏の『アストロ球団』はその代表的な作品と言えるだろう」と紹介した。
また、「『週刊少年ジャンプ』の方向性を大きく変えたのは、77年に連載開始した車田正美氏の『リングにかけろ』だろう。この作品は亡き父の遺志を継ぐ少年が世界チャンピオンを目指して過酷な特訓を重ねるという内容だった。しかし途中で作風は一変。現実的なボクシングから必殺技を繰り出す超能力バトルへと変貌し、今日では定番となった『技名を叫び、必殺技で敵を倒す』という演出の誕生となった。重要なのは技の理屈ではなく、その技を使う人物に説得力を持たせることだ。敵が強くなるほど主人公は敗北し、新たな修行によって成長する。ここで『努力』が主人公を強くし『勝利』への資格となる。そして修行の時間を稼ぐために仲間が命懸けで支える『友情』が描かれる。こうして3原則の循環構造が完成したのだ」と論じた。
その上で、「スポーツ漫画の流れを受け継いだ作品では、競技人数が多いほど友情を描きやすくなる。81年に連載開始した『キャプテン翼』はその代表例であり、リーダーシップあふれる大空翼の姿は、それまでの主人公像を刷新した。82年には車田氏が『風魔の小次郎』を連載し、再び3原則を描いた。一方、中島氏の新たなスポーツ根性漫画『よろしく春一番』は打ち切りとなった。読者はすでに、従来の泥臭い根性作品ではなく、新しいジャンプ作品を求めていたのである」と分析した。
さらに、「84年の『ドラゴンボール』、85年の『魁!!男塾』、86年の『聖闘士星矢』、89年の『ドラゴンクエスト』も『友情・努力・勝利』を軸とした作品となり、90年代には、この3原則はジャンプ作品の代名詞になっていた。ところが20年、『少年ジャンプ漫画賞』のX(旧ツイッター)公式アカウントは3原則を掲げたことはないと回答。読者は反発したが、実際には公式が認めようと認めまいと、彼らにとって友情とは『ジョジョの奇妙な冒険』のシーザー・A・ツェペリがジョセフ・ジョースターへ託した最後の波紋であり、努力とは『ドラゴンボール』の精神と時の部屋での修業であり、勝利とは『SLAM DUNK』で桜木花道と流川楓が山王工業戦後に交わした無言のハイタッチだったのだ」とした。
そして、「日本社会そのものは80年代のバブル経済期『努力すれば成功できる』という価値観に支えられていた。しかし現在は事情が異なる。努力すれば必ず成功できる時代ではなくなった。その変化に合わせるように、『鬼滅の刃』『Dr.STONE』『呪術廻戦』といった作品は『友情・努力・勝利』の3原則を残しつつも、より現実的で、より過酷で、よりダークな世界観を描くようになった。芸術は現実を映し、現実もまた芸術によって変化していく。10年後には、『週刊少年ジャンプ』を象徴する新たな黄金法則が生まれているのかもしれない」と述べた。(翻訳・編集/岩田)
あってもなくてもどちらでもいいです。少年ジャンプ編集部が公式に三原則として掲げたことは一度もないので。 #Peing #質問箱 https://t.co/EiZGnTs3pi
— 少年ジャンプ漫画賞 (@jump_mangasho) November 2, 2020











