香港誌の亜洲週刊はこのほど、12月に開港が見込まれるベトナム南部のロンタイン国際空港の話題を紹介する記事を発表した。同空港は東南アジアの空港の「勢力図」を描き換え、所在地のドンナイ市は新たな国際的ゲートウェイになる華麗な転身を実現する可能性があるという。
ベトナム南部で建設が進められている同国最大規模の空港になるロンタイン国際空港は、12月1日に供用を開始する予定だ。この巨大インフラは、今年4月に同国で7番目の中央直轄市への昇格を果たしたばかりのドンナイ市内に位置する。ベトナム最大の面積の新たな直轄市には、新空港の開港とホーチミン市に隣接するという有利な地理的条件を活用し、従来の単なる工業都市から、新たな国際的ゲートウェイになる華麗な転身を図る構想がある。
ロンタイン空港は東南アジア地域における新たなハブ空港としての地位を確立し、シンガポールのチャンギ空港に匹敵する存在になることを目標としている。チャンギ空港はさまざまな分野で世界最高の評価を受け続けており、2025年には年間旅客対応能力が7000万人に達し、将来は1億4000万人への拡張を目指す。これに対し、約128億ドル(約2兆円)の巨額資金が投じられたロンタイン空港は、バンコクやクアラルンプールなどの成熟したハブ空港から長距離の乗り継ぎ客を奪い取る方針だ。
同空港はホーチミン市の東に約40キロ離れた場所にあり、建設の第一の目的は慢性的な過密状態にあるタンソンニャット空港の混雑緩和だ。初期段階での年間旅客対応能力は2500万人にとどまるが、数年を要する後期建設が完了すれば、設計の年間利用者の上限は1億人に達する。この計画が完全に実現すれば、旅客対応能力で東南アジアをけん引するチャンギ空港の現在の規模を上回る。ロンタイン空港は、地域における航空交通の勢力図を大きく塗り替える潜在力を秘めている。
今後の具体的な運航路線の振り分け計画によると、ロンタイン空港は航続距離が1000キロを超えるすべての長距離国際便、およびすべての貨物便を受け入れる中核拠点になる。一方で、既存のタンソンニャット空港は、エアバスA320などを使用する比較的短距離の国際便の発着空港にする。
新空港の供用開始が近づき、ドンナイ市の経済構造も大きく変化しつつある。同市はこれまで、スポーツシューズなどの生産で知られる一大工業拠点として、隣接する省と共にベトナム国内最大の製造業群を形成してきた。同市からの輸出額はベトナム全国の輸出総額の6%から8%を占め、2024年の輸出総額は240億ドル(約3兆8000億円)近くに達した。うち75%は外資系企業が占めるなど、同市は外資と民間経済の極めて重要な集積地としての役割を長年果たしてきた。
しかしドンナイ市は、直轄市への昇格と新空港の開港を機に、工業大省という固定化されたイメージからの完全な脱却を目指している。同市は直轄市の地位を得たことに伴い、大型プロジェクトの投資政策を中央政府の事前承認なしに独自に決定できる権限を手に入れた。ドンナイ市は空港開港を起爆剤にして、外国直接投資の誘致拡大に向けた独自の優遇政策や行政手続きの簡略化を強力に推進していく方針を打ち出した。
同市の工業発展センターは、これからの新たな発展段階においては、自由貿易区の創設をはじめ、クリーンエネルギー分野への投資、スマートシティーの構築、高度な科学技術インフラの整備、空港経済センターの建設を展開していく必要があるとの考えを示した。市当局は、すでにスズキやネスレなど世界的な大手企業が進出している実績を踏まえ、新たに獲得した権限と都市のブランド力を最大限に活用し、より高付加価値な先端産業分野での投資を世界から呼び込む計画だ。
課題は、新空港へのアクセス網を中心とする広域交通インフラの整備だ。現時点ではホーチミン市から空港まで約2時間を要しており、新たな高速鉄道や2本の地下鉄路線の建設計画が進められている。
世界とベトナムを直接つなぐ国際的ゲートウェイとしての役割を担うことになるドンナイ市は、国の未来の経済成長をけん引する中心都市へ変貌を遂げようとしている。新空港の稼働は東南アジアの経済競争に新たな波紋を呼ぶ転換点となるはずだ。(翻訳・編集/如月隼人)











