沖縄だけちょっと企業名が違うわけ
沖縄伊藤園の人気商品、「シイクワシャーティー」。「OKINAWA ITOEN」と、ロゴ部分がちょっと違ってます。
先日bit欄でお届けした、ほとんどの都道府県で飲める“バヤリース”は、「アサヒ飲料」の。ただし、沖縄県には「沖縄バヤリース」という別会社があり、沖縄のバヤリースはここの会社のもの、というお話。


バヤリースの場合、アサヒ飲料が国内での販売を契約した当時、沖縄はまだ返還前。契約の項目には「沖縄をのぞく」という記述があったというのが、2つのバヤリースが存在する理由であった。

しかし、である。沖縄には同じ飲料メーカーでも、「沖縄伊藤園」「沖縄ポッカ」など、沖縄版別名称のような企業はいくつかある。たとえば「おーいお茶」が販売にあたり、バヤリースのように「沖縄をのぞく」という項目を含む契約を交わす必然はあるわけもなく。
バヤリース的事情のほうがケースとしては珍しいかと思うが、じゃあ結局、なんで企業名に「沖縄」とかぶせるのか。


伊藤園の本社広報にたずねてみた。すると、沖縄伊藤園という会社は、
「当社から見ますと、連結子会社ということになります」
とのこと。バヤリースとは違い、同じグループの企業である。なぜ沖縄だけこうなっているのかといえば、
「沖縄には、沖縄だけのドリンクメーカーが非常に多いんです。そんな条件のなか、流通や生産のシステムなどを考えますと、沖縄県内で完結させる形をとるほうが、効率がいいんです」
沖縄伊藤園では、「さんぴん茶」や「シイクワシャーティー」など、独自の商品を多く手がけている。そういう意味からも、
「マーケティング面からも効率がいいといえますね」

それでは、飲料メーカーとは全く違う分野。
携帯電話の通信会社にも、“沖縄独自ネーム”あり。
au系列の通信会社は沖縄では「沖縄セルラー電話株式会社」という企業名になっている。「セルラー」といえば、その昔auとして日本移動通信(IDO)と合併した企業がその名前だったりした。関連はあるのか。また、なぜ沖縄だけ「セルラー」の名前なのか。

沖縄セルラーによれば、その合併の際に沖縄は独自に「セルラー」として名称とともに歩むことにしたのだという。
その意味合いをたずねると、
「やはり一言で言えば、土地柄でしょうか。若干コストがかかる面もあるのですが、やはり地場を大切にする土地柄、地元企業とのつながりを大事にしていきたいという意味からも、これまで親しまれたものを残したい、という判断になりました」

沖縄のことは沖縄の中で、というほうが何かと便利なこともある。というわけだ。
じゃあオレも、沖縄ネタを書くときには、名前に“沖縄”をかぶせとくか。無意味な便乗だが。
(沖縄太田サトル)