10月よりスタートした新ドラマ『フリンジマン~愛人の作り方教えます~』(テレビ東京)は、「愛人を作るためのHow toドラマ」を謳っている。
「フリンジマン」3話。筧美和子のニット姿たまらん、いちいち震える「愛人作り」の極意、メモっておくか
原作コミック1巻

今作では女性との様々なシチュエーションについて、「愛人教授(ラマン・プロフェッサー)」の異名を持つ井伏真澄(板尾創路)が判定し、愛人になる可能性について論じる。例えば、以下だ。
・「おはようございます」の後に名前を呼んでくれる女性とは、およそ23%の確率で愛人関係が成立する
・二人きりの空間で世間話をし、相手と良好な雰囲気を作り上げられれば、32%の確率で愛人関係が成立する

バカバカしいと言うなかれ。世の男たちはバカだ。このドラマを視聴し、実際に役立てようとする者は実在している。
これは、『フリンジマン』松本拓プロデューサーによるツイートである。




もしも浮気中、妻と同じ空間に出くわしたなら……?


井伏率いる「愛人同盟」のメンバー・田斉治(大東駿介)は、会社の後輩である“愛人の原石”山口詠美(筧美和子)から「彼氏のフリをしてほしい」と懇願される。別れたのに自宅へやって来てしまう元カレを諦めさせるため、元カレが務める代官山のショップへ一緒に行ってほしいという依頼であった。

これは、愛人を作りたい田斉にとって渡りに船の展開! しかも、作戦当日に現れた山口……というか筧美和子の服装が素晴らしすぎる。彼女が選んだファッションは、体のラインが丸わかりのニットだ。筧美和子のバストは89センチなので、見てくれがどうなるかは推して知るべし。

このドラマは視覚的欲求だけでなく、知識的欲求も満たす。山口と疑似デートを楽しむ田斉の真後ろの席に、なんと友人とランチする田斉の妻が座ったのだ。まだ、妻は田斉の存在に気付いてない。しかし、時間の問題だろう。もしも、山口が会話中に「田斉さん」なんて言おうものなら、同じ苗字の嫁はすぐに振り返ってしまうはず。危機的状況だ。
「心理学で言う『カクテルパーティー効果』です。カクテルパーティーのような雑踏でも、人間の耳は自分の名前を聞き取ることができます。今、ターゲット(山口のこと)が田斉さんの名前を呼べばボギー(軍事用語で『敵機』の意。田斉の妻のこと)に悟られます」(井伏)

ここで、井伏が通信機を通じ田斉へ飛ばした指示は「ターゲットから今すぐあだ名を付けてもらってください」であった。山口に田斉の名前を呼ばせなくするため、あだ名で会話する展開に持っていくということだ。
これは、豆知識だな! 万に一つ、こういうシチュエーションになったら私も使おう……。

女性との会話がままならない場合、好転させるテクニック


それにしても、田斉がいよいよダメすぎる。店を出て、せっかく代官山の街を山口と2人して歩いているのに、会話がまるで続かない。女慣れしてないのだろうか? 愛人を作りたがっている男が。っていうか、既婚者なのに……。
そんな田斉に檄を飛ばす井伏。
「一つ、お忘れなく。寝てない女は、ただの女。ゴールはまだ遠い。浮かれてる場合ではありません。今度は攻めのターン。こちらから仕掛ける。ターゲットの心を奪うのです。ターゲットがただの女のままか、愛人に化けるか。ここからが重要です」(井伏)

しかし、田斉は手も足も出ない。頭に浮かぶのは、趣味の歴史に関することだったり、仕事のことだったり、野暮なトピックばかりであった。
だけど、やっぱり井伏が頼りになる。GPSを参考に井伏が田斉に与えた指示は「この先10歩進んだら、道路を背にして20秒ほど立ち止まってください。それだけで事態は収拾するはずです」というものだ。
わけもわからず田斉が実行すると、自ずと「洋服店を見つめる田斉」という状況が出来上がっていた。山口から見るとそれは、「アバンギャルドなファッションを好む上司」に映るから、あら不思議。そして、勝手にファッションの話で盛り上がる始める山口。ショーウインドウの前に立ち止まるだけで、なんと会話が成立してしまった!
「人間とは本来、自分だけがしゃべりたい生き物なのです。会話が止まってもあせる必要はありません。あなたの周りには、いくらでも材料があるのです」(井伏)

そして、事態は好転する。なんと、山口の方から田斉に腕を組んできたのだ。
「形が表れれば、90%の愛人関係が成立したと言っても過言ではありません」(井伏)
へぇ~、井伏のHow toを実践すると、こんなミラクルが起きるのか! これは、参考になるぞ。……と思ったものの、主演の板尾創路がインタビューでこんなことを言っていたっけ。
「(この作品で不倫のテクニックを学べる? という質問に)それはない(笑)。結局は男の身勝手な思い込みであり、それが正しいって思い込んでるところが、バカで可愛らしいところのような気がします」(週刊ヤングマガジン2017年10月23日号)

“愛人作り”におけるNG行動とは


そんな中、山口と共に街を歩く田斉に井伏が声を荒げて注意する。何が起こったのか!?
「田斉さん、その店はいけません! ただちに右折を。早く曲がるのです!」(井伏)

実は、2人が向かおうとしていたのは宝飾店であった。
「宝飾店にある指輪は、2人の会話に結婚のイメージが入り込む恐れがある。愛人との会話では、それは何としても避けなければならない」(井伏)
その他、ベビー用品やブライダルショップへの入店も厳禁だ。
「純度100%の“愛人用の会話”を楽しむのです」(井伏)

楽しいだけではない。締めるところは締める。“愛人作り”には、高揚と冷淡が同居していた。参考にせざるを得ない。
筆者には、法則テロップを一時停止しながら観てしまうおっさんの気持ちが痛いほどよくわかります。
(寺西ジャジューカ)

アマゾンプライムでは先行公開中「フリンジマン」