前回のレビューで、「メグリン(飯豊まりえ)がいきなり全裸で登場する、原作の目玉エピソードがなかった!」と書きましたが、今週ちゃんと出てきましたね。

当然、画面には映らないものの全裸の設定で、ハルト(平野紫耀)の瞳にメグリンのヌード(煙で肝心なところは隠している)が映り込んでいるという、最近なかなか見ないオモシロお色気演出……ありがとう!

ただ、せっかくラッキースケベ・エピソードを盛り込むんだったら、中途半端に前段階で登場させず、原作と同様、いきなり全裸で登場させた方がインパクトあったと思うけど。


どうかしているけどカワイイよ、メグリン!


江戸川音(杉崎花)、神楽木ハルト、馳天馬(中川大志)の三角関係に、カリスマモデルのメグリンが割り込んできた今週。

真矢愛莉(今田美桜)のサイコパスっぷりが記憶に新しいだけに、その後が飯豊まりえちゃんじゃインパクトが弱いかな……と思っていたのだが、愛莉とはまた違う方向性でのモンスターっぷりが発揮されていて、なかなかの強烈キャラだった。

スマホの恋愛シミュレーションゲーム(「ハイガーディアンズ」!)にハマっていて、舞台も3回見に行き3回とも泣いてしまったという、カリスマモデルなのになかなかヘビーなオタ女であることが明かされたメグリン。

「私、ゲームでしか恋をしたことなくてリアルな恋が分からないんだ」

と言っていたが、恋愛経験云々以前の問題! 
「ハイガーディアンズ」に出てくる推しキャラに似ているという、ハルトに対する行動が完全にどうかしているのだ。

今まで恋愛経験ナシだという女の子が、風呂場に男が入ってきたのに、身体を隠すどころか、丸出しのままグイグイ近寄っていくあたりからしてだいぶネジが外れている。

どっからどう見ても、天馬とのデート中である音を追いかけていって、「ハルトのことをどう思っているのか」的な質問をぶつける空気の読めなさも恐ろしい。

さらには、ゲーム内キャラのセリフ「おいで……弱った心にはハグが一番」に感銘を受け、執事の制止を無視してハルトの家に強引に上がり込み(神楽木家のセキュリティが心配!)、音から冷たくされて落ち込んでいるハルトに向かって両手を広げ「弱った心にはハグが一番!」と、ハグしようとするクレイジーさ。

「花のち晴れ」付き合ってもいないのに嫉妬全開の音は音無響子さんかと。飯豊まりえお色気演出ヤッタ!5話
イラストと文/北村ヂン

金持ちのお嬢様な上に人気モデルなので、世間のことを知らないのかも……というのを踏まえたとしても、ヤバイ薬でもやっているんじゃないかと心配になってしまう。

しかし、そんなメグリンが……たまらなくカワイイのだ!

音への告白の練習台として「好きだ」と言われたのをきっかけに、突然「あれっ……」と恋に落ちてしまったメグリン。

恋愛に耐性のない女の子が、はじめての(三次元への)恋心に戸惑いながら、あらぬ方向に暴走してしまう感じが何とも……あ、甘酸っぱいじゃないの!

江戸川音=音無響子説


異常行動ながら、ハルトとグイグイ距離をつめていくメグリンの登場で、音の心境にも変化が……というか、あからさまにジェラシーを丸出しにしていた。

音は、ハルトに対するモヤモヤした感情……おそらく嫉妬心に気付きつつも、必死に「私には天馬くんがいるから」と押さえ込もうとする。

「天馬くんと一緒にいると、ドキドキワクワクして、ずっと笑っていられる。あったかくて優しい気持ちになれる。そんな自分のことを世界で一番好きでいられる。
私、恋している」

心の声が、自分への弁解に聞こえてくるのだ。

このセリフは、バイトの先輩・紺野(木南晴夏)からの、

「人生一楽しくて、人生一笑ってるのは、やっぱミータン(彼氏)といる時なわけよ。ミータンといる時の自分が世界で一番好きなんだよね。恋をするってのはそういうことなの」

というアドバイスと、母親(菊池桃子)の、

「何が起こるか分からないドキドキワクワクが恋の醍醐味でしょ?」

という言葉を受けてのもの。

音はどちらも「天馬と一緒にいる自分」に当てはめようとしているが、ハルトといる時の方がナチュラルな笑顔が出ているし、「何が起こるか分からない」要素なら明らかにハルトの方が強いだろう。

『めぞん一刻』の響子さんのように、付き合ってもいないハルトにジェラシーを全開にして当たり散らし、そんな感情をごまかそうとするかのように、天馬と付き合おうとする音。


なかなかヒドイ女だ。

サワヤカすぎて気持ち悪いよ、天馬


そんな音に対しても、天馬は相変わらすソツがなく、何をやらせてもパーフェクトな対応。

なのに、イマイチ自分の中で好感度が上がらないのはなぜだろうかと考えたのだが、……童貞っぽさがないからだ。

冷蔵室に閉じ込められて身体の冷えた音を、迷うことなく抱きしめたり、てらいもなく「ボクは今、世界で一番幸せだなぁって思ってるよ」なんて言っちゃう天馬。

そんなの、普通の(童貞期の)男子高校生には絶対無理だよ。加山雄三かよ。

そんな、サワヤカすぎて気持ち悪い天馬よりも、ラッキースケベに遭遇したのに「オンナーッ! ハダカーッ!」と叫んでぶっ倒れちゃう、童貞感あふれるハルトの方が好きだ。


天馬だったら、全裸のメグリンにスッとタオルをかけてあげそうだ。……イヤだ、そんな男子高校生。

C5はバカの集団なのか


自分の気持ちにまだ戸惑っている様子の音。庶民どうこう言っていたのが信じられないくらい「音が好きだ」と前のめりになっているハルト。

しかし、ふたりの恋路を邪魔する包囲網も広がっている。


ハルトの父親、天馬の(義理の)母親、音の母親といった親連中はともかくとして、仲間であるC5の面々も「英徳のために西留めぐみ(メグリン)と付き合え」と言い出しているのだ。

しかし、「天馬の通う桃乃園学院に圧倒的な差をつけられている」現状を打開する策が「C5のリーダーが有名モデルと付き合う」って……。

「これも学園の乱れを正すためだ!」
「そうでもしなければC5の威厳を保てない!」

C5のみんな、ちょっとバカすぎないだろうか。「ウチらのリーダーはいい女と付き合ってるんだぜ」というのがステータスって、田舎ヤンキーの発想だよ!

まあ、何だかんだ文句を言いながら夢中でテレビを見て、「ひどいよみんな、ハルトの気持ちを分かっているくせに!」とかムキになっているボクが一番バカなんだけど。
イラストと文/北村ヂン