「タッチ」エキストラでわかった撮影に時間がかかるワケ
配られたお弁当。野球観戦というシチュエーションのため、本番も食べながらでオッケーでした。
先日、映画「タッチ」(この秋公開予定)のエキストラに参加してきました。彩の国ロケーションサービス(埼玉県観光振興室)が県のPRのために撮影に協力、一般に向けてエキストラを募集したものです。


会場は埼玉県営大宮公園野球場。真夏の野球観戦というシーン設定のため、本番では半そで着用とのこと。本番以外では上着を着ててもいいとはいえ、わたしが参加したのは3月31日。まだまだ半そでになるには寒いだろう…、と思っていました。が、いざ行ってみてスタンドに座ると、ものすごく日差しが強い。8時半集合、夕方5時までの撮影のため、入場するときに昼食用のお弁当と飲み物をいただきましたが、早く食べないと腐るんじゃないかと思うほどでした(案の定、次の日には日焼けで腕が真っ赤。こんな時期に日焼けするとは…)。まるで本当に夏の野球観戦に来た気分。

スタンドでエキストラを仕切る助監督さんの説明によると、この日集まったのは約1300人とのこと。バックネット裏が埋まる程度の観客です。グラウンドには撮影クルーとユニフォームを着た俳優さんたちが準備してます(上杉達也役の斎藤祥太さんの姿も…!)。

エキストラの側から見て、どういうふうに撮影がすすむかというと、まず助監督さんからこれから撮るシーンの詳細な説明があります(例えば現在の試合の状況、エキストラはどういう演技をしたらよいのかなど)。
次にテスト(リハーサル)、そして本番となります。

テストも本番も、もちろん俳優さんも含めて場合によってはオッケーが出るまで何度もやります。ワンシーン撮り終えたら次のシーンの撮影準備→テスト→本番。それを一日に何シーンも繰り返していくのです。

エキストラに関係のない撮影準備のときはとにかく「待ち」です。さらに、太陽が雲に隠れてしまったときにはまた出てくるまで待ったり、飛行機が飛んでいるときは音が入ってしまうので、消えるまで待ったり……。とにかく待ち時間が多いんです。よくテレビで俳優さんたちが「待ち時間がとても長い」なんてことを言ってますが、その意味が身をもってわかりました。

また、エキストラはずっと同じ席に座っているわけではなく、お客さんが埋まっているように見せるため、シーンによってはごっそりと席を移動させられます。カメラで映る範囲によって変えるわけですね。限られた人数でやりくりする撮影テクニック! その他大勢のエキストラでありながら、ひとり何役かやれるなんておもしろい。また、後から「合成」で編集するために、同じシチュエーションで何パターンか撮ったりすることも。
素人のわたしは「なるほど、こういう仕組みになっていたのか……」と感心することばかり。

エキストラでも体力を消耗するのに、撮影が何日も続くスタッフのみなさんはさぞかし大変だろうと思います。映画って、観るのは簡単だけど作るのは本当に時間がかかっているんですね。この貴重な体験を踏まえて、秋の公開を楽しみにしたいと思います。みなさんもこれから映画を観るときに、エキストラの動きに注目してみるのも楽しいかもしれませんよ! (山内愛美)
編集部おすすめ