そもそもチョークって体に悪くないのか? これは大事なところである。調べてみるとチョークは大きくわけて硫酸カルシウム(せっこう)で出来ている場合と炭酸カルシウム(サプリメントなどでも使われている)で出来ている場合の二種類。共に大量に食べなければ影響はないとの事。念のため色素が使われているカラーチョークはパス。オーソドックスな白の炭酸カルシウムで出来たチョークを堪能することにした。
まずは、チョークそのものの味を楽しむ“プレーン”。久しぶりの対面に思わずひるむが、勇気を出してサクッ。口の中に広がるほのかな石油味と水分を吸い尽くす粉末。これは「まずい!」。全然懐かしくない。なぜこのような物をあれ程食べていたのかがわからない。
続いて、日本人定番の“醤油味”。つけた瞬間、チョークがものすごいスピードで醤油を吸い込んでいく。かすかな望みをかけてかじって見ると……? 「粉しょっぱい!」こんな言葉はないとは思いつつ、このような表現しか出来ない苦悩を汲んで頂きたい。
先ほどの“プレーン”が単純にしょっぱくなっただけ。そして粉っぽい。ややブルーになる。
同様に“味噌味”や“マヨネーズ味”を試してみたが、独特の粉っぽさがネックになっているのは間違いなく、チョークを美味しく食べようなんて発想が浅はかだった事に気づく。基本的に、“調味料”プラス“粉”という魔の構図が完成されており、人間の味覚をあざ笑うかの様、ことごとく不味い!
そして、実験に没頭し自分を見失いかけたその時、ある重大な事に気づいた! 「そもそも食べ物じゃない!」
なぜか心の荷が下りた様な気がした。勝手に「チョークを美味しく食べる」と言った手前だが、チョークは食べ物ではないのだ!
これを呼んでいる方々に叫びたい! チョークは食べ物ではないんです!!
この実験を通して多くの事を学んだ。幼い頃チョークを食べてた人が意外に多い事、チョークはどんな食べ方をしても不味い事、そしてチョークは食べ物ではないという事。しかし、いざ面と向かってチョークと向き合ったら、あの頃の幻想が蘇った。
(木南広明)
(注意)本人の意思でやっておりますので、絶対に真似はしないで下さい。