20歳にならないと、肉じゃがは作れない?!
台所に並んだ調味料。30歳の私は<br>どれも余裕で買えるけれど……
最近スーパーのお酒コーナーで、こんなポスターをよく見かける。
「これはお酒です。
20歳以上の年齢であることを確認できない場合には酒類を販売いたしません」

数年前から増えたこのポスター。そのきっかけは、未成年者飲酒禁止法が平成13年に改正されたこと。お酒を販売または供与する人は、「年齢の確認その他の必要な措置を講じるものとする」という旨の規定が追加されたのだ。

これにより、昔はよくあった「小学生が近所の酒屋さんにおつかい」なんて光景は、もう見ることがなくなった。個人的にはなんだか寂しい気がするが、時代の変化を考えると、仕方がないのだろう。

ところでこのポスター、お酒コーナーだけでなく、料理酒やみりんなどの調味料コーナーに貼ってあることも多い。
確かに料理酒やみりんもアルコール分はあるけど……。やっぱり、本当に買ってはいけないの?

そこで全国のスーパーや量販店が加盟している日本チェーン協会にお話を聞いてみると、
「ハイ、20歳未満の方にはみりんや料理酒をお売りすることはできません」
でも、なかには大学入学を機に一人暮らしをはじめた人や、料理の専門学校に通っている人など、料理に使いたい人もいるのでは?
「そういった理由があっても、やはり20歳以上と確認できない場合には、お売りできないんですよ」
一人暮らしをはじめて「彼氏に肉じゃがを!」なんてはりきってみても、材料が揃えられないのか……。

念のため、この法律を所轄している国税庁や警察庁にも確認してみると、
「20歳以上であることが疑わしい場合には、年齢確認など必要な措置を実施していただくことになっています」
ちなみに年齢確認というのは、施策のひとつの例だそう。また気になるお酒の定義だが、
「酒税法における酒類とは、“アルコール分1度以上の飲料”と定義されています」
とのこと。つまり定義のうえでは、みりんや料理酒もふくまれてしまうのだ。

調味料が「飲料」と呼べるのかは微妙なところだが、よく考えれば、みりんは古くはお酒として広く飲まれていたし、料理酒だってそのまま飲むことはできる。
購入者が本当に料理に使うのか、お酒として飲むのか、売る側が判断するのは難しい。やはり「売らない」という対応になってしまうのも仕方ないのだろう。

ということで、やはり20歳以上でなければ買うことができない、みりんや料理酒。料理好きな若い人にとっては難儀だと思いますが、現状ではそういうことのようです。
(古屋江美子)