【新展開】ついにVisa・Mastercardに警告書!マン...の画像はこちら >>



 なんら違法性のないマンガやゲームが、ある日突然買えなくなる。



 決済事業者の独自基準によって、合法なコンテンツが金融サービスから締め出される「金融検閲」と呼ばれる問題が、今アメリカやヨーロッパをはじめ世界各国で波紋を呼んでいる。



 日本でも近年マンガ・ゲーム・動画関連のサービスで、合法なコンテンツにも関わらずクレジットカード決済が停止される事態が多発しており、ファンやクリエイター、プラットフォーマーの間に動揺や混乱が広がっていた。



 2026年春、この問題をめぐって欧米で新たな動きが活発化してきた。本稿では「金融検閲」を巡る世界の動きを整理した上で、日本の今後について展望する。





■米FTCがクレカ業者に警告書を送付



 2026年3月26日、米連邦取引委員会(FTC)のアンドリュー・ファーガソン委員長が、Visa、Mastercard、PayPal、Stripeの4社のCEOに対して警告書を送付した。



 FTC Chairman Andrew N. Ferguson Issues Warning Letters to CEOs of PayPal, Stripe, Visa and Mastercard About Debanking American Consumers
FTC法第5条(不公正または欺瞞的な行為・慣行の禁止)に基づくもので、その要旨はこうだ。



 政治的信条、宗教的信念、あるいは合法的な事業活動を理由に、顧客を決済サービスから排除する行為はFTC法に違反しうる。そのような行為が確認された場合、調査と法的措置に踏み切る——ファーガソン委員長は警告書の中で、利用規約に書かれた内容と実際の運用が食い違うかたちで顧客を排除することは、消費者の合理的な期待に反するとも指摘している。



 さらにVisa・Mastercardに対しては、傘下の加盟金融機関による金融検閲を「見て見ぬふりをしてはならない」とも求めた。



 実は、前述のマンガ・ゲーム・動画など、日本で起きた決済停止は、まさにVisa・Mastercardの基準によるものだとされている。



 これまで、Visa・Mastercardなどカード会社側は「表現を規制しているわけではない」と説明してきたが、実際には加盟店契約会社(アクワイアラ)や決済代行業者を通じて間接的に圧力がかかり、結果として合法コンテンツまでが排除されてきた。



 米・FTCの警告は、こうした構造の全体に向けられたものだ。



 背景には、トランプ大統領が2025年8月に署名した大統領令(EO 14331「すべてのアメリカ人のための公正な銀行を保証する」)がある。



 政治的所属や宗教的信念、合法な事業活動を理由とした金融サービスの拒否を明確に禁じたもので、連邦規制当局にもその是正を命じている。さすがは自由の国アメリカと言うべきか。





■「レピュテーションリスク」への“ノー”が拡大



 金融検閲が横行してきた背景には、「レピュテーションリスク(評判リスク)」という概念がある。



 これは、「この顧客と取引すると自社の評判を傷つけるかもしれない」という理由で、合法な事業者を排除する根拠として使われてきた言葉だ。



 法律上は合法でも、「評判が悪い」と見なされればサービスを打ち切られる。しかも、誰がどの基準で「リスクあり」と判断したのかは顧客には知らされない。



 この「レピュテーションリスク」という概念は長らく金融業界で金科玉条のように扱われてきた。しかし今、それに対する明確な“ノー”が相次いで突きつけられている。



 2026年4月7日、米国の銀行監督機関であるFDIC(連邦預金保険公社)とOCC(通貨監督庁)は、「レピュテーションリスク」を理由に金融機関にサービス拒否を求めることを禁じる最終規則を公布した。



 これにあたり、FDIC議長のトラビス・ヒルは声明で、この考え方が「法律を守っている顧客を排除するよう銀行に圧力をかけてきた」と率直に認めている。
さらに、もう一つの監督機関であるFRB(連邦準備制度理事会)も同様の規則案を準備中で、4月27日締切のパブリックコメント(意見公募)には4月8日時点で約4,800件ものコメントが寄せられている。



 そのほとんどは、金融検閲に対する反対意見だ。



《レピュテーションリスクによってマイノリティの人々のビジネス機会が著しく制限されてきた。男性二人が手をつなぐだけで、ゲームや漫画が削除されるのはおかしい!》



《銀行がアメリカ人の金の使い道を決める権限はない。銀行は仲介者であるべきで、それ以上でも以下でもない!》



 こうしたアメリカの世論を後押しに「金融検閲」問題は、改善の方向に大きく進む可能性がある。





■日本も決済環境を早急に整備すべき



 日本でもこの「金融検閲」問題への関心は高まっている。



 DLsite運営のviviONはJCBブランドの独自クレジットカードを2026年1月に発行し、銀行口座からの直接決済サービスも開始するなど、Visa・Mastercard以外の決済手段を自ら確保する動きも出始めている。



 もちろん、違法コンテンツの排除は当然の責務であり、決済事業者にも相応のリスク管理が求められる。



 だが、その対策が合法なコンテンツや事業者にまで及んでいるのが現在の問題だ。好きなマンガやゲームを買う、推しの作品を応援する——そんな当たり前のことが、決済事業者の裁量ひとつで奪われる構造を、このまま放置していいのだろうか?



 マンガ、アニメ、ゲームは日本が世界に誇るコンテンツ産業の根幹だ。例えば、R-18コンテンツでありながら世界を席巻したFateシリーズのような作品が日本から生まれなくなるかもしれない。このままでは、日本のコンテンツ産業そのものが痩せ細りかねない。



 アメリカが動き始めた今こそ、日本でもコンテンツ産業の健全な発展を促せるような決済環境の整備が必要ではないだろうか?



文:BEST T!MES編集部

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