ライター、編集者、クリエイティブディレクター、撮影コーディネーターなどの肩書きを持つ筆者・小林久乃。本人が「幼少期からドラマオタクだ」と豪語するほど愛するテレビドラマの見どころについて語る連載、今回は特別企画。
2019年で彼女が「面白かった」と推す、ベスト5作品を2回に渡って発表する。あなたが好きだった作品はさて、何位に? まずは第5位から3位までを紹介。
※筆者個人の主観による選出ですので、各テレビ局等は関係ありません。
専門家が選ぶ、2019年放送テレビドラマで面白かったドラマ・...の画像はこちら >>

 

5位 『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』

主演・菅田将暉 2019年1~3月放送 日本テレビ

<あらすじ>

“高校教師・柊一颯(菅田)は担任を受け持つ3年A組の生徒を人質にして、教室に監禁する。それもナイフ、銃、爆弾を使い、警察組織に侵入をさせないシステムも導入……。さらに運動神経の長けた一颯に生徒は腕力で太刀打ちすることもできない。教室から一歩も逃げることもできない29名の生徒の安否は? そして一颯が事件を起こした本来の目的は一体……?”

 今年は大好きな学園ドラマが豊作だった。『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―(以下、3年A組略)』以外にも、ゲイで女装家の教師が主役の『俺のスカート、どこ行った?』(日本テレビ系)も面白かった。一颯が事件を起こした理由は自ら命を落としてしまったクラスメイト・景山澪奈がひとつのきっかけ。起きてはならない事件の原因を自分たちで考えろと、ひたすら訴え続けていた。暴力的なシーンもあり、サイコパスのように見えることもあったけれど、その後ろには淀むことのない生徒への愛情が流れていたと考えると、じんわりと涙が溢れてくる。

 これは私の予想だけど、一颯が全編を通して伝えたかったのは“真実を知ること”の重要性ではないかと思う。

最終回に彼が屋上からダイブする前にも言っていた。

「おまえらネットの何千、何万という悪にまみれたナイフで、何度も、何度も刺されて景山澪奈の心が殺されたんだよ。おまえのストレスの発散で他人の心をえぐるなよ、分かるだろ? 俺の言いたいこと!」

 これである。SNSという有象無象の世界のことを信用しすぎて、自分の目や手で真実を知ろうとしない現代人。私もその節があることは否めない。そんな人たちへ、警鐘がずっと鳴らされていた作品だ。

 いや『3年A組』も『俺スカ』も新しい形の金八先生だ。迷いのない教師の姿勢が訴求してくるものは大きい。余談だけど、この日テレ2作品、先生が二人とも病弱だったね。

4位 『凪のお暇』

主演・ 黒木華 2019年7~9月放送 TBSテレビ

<あらすじ>

“大島凪(黒木華)はOL時代、自分を偽っていた。同僚たちに同調しようと、顔色を伺い、ランチにつき合い、SNSでは「いいね!」を押す。天然パーマも隠してストレートヘアにして、恋人の我聞慎二(高橋一生)と交際していた。
それも28歳の適齢期に結婚をするため。ただ慎二が凪のことを「体だけが目的」だと話していることを聞いてしまい、全てを捨てて新しい自分になろうと決意。仕事も住まいも、我慢も全てを捨てて飛び出した。”

 今年、やっと話題になってくれたと思うのが“同調女子”。一人で仕事をしている私には縁遠い世界なのだが、酒場で会う女子や仕事で会う女性軍たちの心をむしばんでいた理由のひとつだ。数年前からSNSで誰もが自分のことを発信できる時代になったあたりから、よく聞くようになった。なんだか妙な話だと思っていた。集団行動は大人として必要なものだけど、明らかに境界線を超えている。そんなふうに思っていた。

 同じように凪も同調することに、自我を殺して振り回されていた。ずっと無理をしていたのだ。ストレスはどこかで体に現れる。

彼女は全てを捨てた。

「だって、だってたぶん、空気って、読むものじゃなくて吸って吐くものだと思うから!」

 捨てた恋人に向かって怒鳴ったこの一言は、ニヤリとさせるものがあった。深呼吸ができるようになった凪に、怖いものがなくなった瞬間だった。その機微を表現する黒木華さんの演技は、素晴らしいといえばそれまでなんだけど、個人的にはズシン、と重かった。クルクル天然パーマに、だぼTシャツ姿というライトな格好。でも凪の見せる開放感の向こうには、いつも群青色の暗がりが伝わってきたから。

 みんなが凪のようにホップステップジャンプするのは難しい。でもこの作品を見て、共感するだけでなく、その向こう側に女子が一歩でも進んでいってほしいなと願わんばかり。

3位 『同期のサクラ』

主演・高畑充希 2019年10~12月放送 日本テレビ

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<あらすじ>

“大手ゼネコンで同期入社をした北野サクラ(高畑充希)、月村百合(橋本愛)、木島葵(新田真剣佑)、清水菊夫(竜星涼)、土井蓮太郎(岡山天音)の5人。淀むことを知らない、真っ直ぐなサクラの姿勢にいつしか4人は惹かれて、それぞれの道を進んでいく。そして事故に巻き込まれて9ヶ月間、意識を失っていたサクラが選ぶ道とは?”

 泣かされっぱなしだったこの作品については、こちらの『BEST TIMES』さんでも何度か記事を書かせてもらった。1回目は泣くポイント、2回目は最終回にサクラが選んだ道について。

リンクを貼るので良かったら合わせて読んでほしい。

 サクラが私たちに教えてくれたことは、たくさんある。

「私には夢があります。一生信じ合える仲間を作ることです」

「私には夢があります。その仲間とたくさんの人を幸せにする建物を作ることです」

 どれを拾い集めても、その意見に反論することができない。だってそれは私たちが、幼稚園や小学校、そして両親から習った人としての基礎だから。そんなことが詰まった作品だった。

 

残りの2作品は明日発表!!!
乞うご期待!!!!

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