​​濱口竜介監督『急に具合が悪くなる』舞台挨拶開催。西島秀俊...の画像はこちら >>



Text by CINRA編集部



濱口竜介監督の映画『急に具合が悪くなる』の公開記念舞台挨拶が6月20日にTOHOシネマズ 日比谷 スクリーン1で開催。著名人12名からコメントが到着した。



物語の中心となるのは、介護施設で理想のケアの在り方を探求するマリー=ルーと、独創的な舞台演出家でありステージIVのがん患者である真理。同じ名前を持つふたりが偶然出会い、やがて友情を超えた深い絆を結んでいく姿を描き出す。原作は宮野真生子・磯野真穂著『急に具合が悪くなる』。



主演のヴィルジニー・エフィラと岡本多緒が『第79回カンヌ国際映画祭』最優秀女優賞を受賞した。6月19日公開。



舞台挨拶は、9:30の回上映後、14:30の回上映前に実施。岡本多緒、長塚京三、黒崎煌代、濱口監督が登壇する。チケットの一般販売は6月13日0:00からスタート。



全国の書店では濱口監督と原作者・磯野真穂による選書フェアが開催中。原作、映画を形作る際に足腰となった書籍を10冊ずつ選書し、コメントを紹介している。



【西島秀俊のコメント】
生きる意味、死、老い、社会の構造的問題、労働、理想と現実、そして魂。
混迷する複雑な世界の中で、私たちが直面しながらも考えることを諦めてしまった問題と、この映画は静かに向き合い、解きほぐそうと試みている。


真理を辿る全ての過程に信じられないほど美しい光が射している。道のりの先に微かな希望が見える。
凄まじい傑作。



【三宅唱のコメント】
本と映画、両方に強く感銘を受けました。
どうしてこんな世の中になったのか。なぜこんな目にあうのか。怒り、傷つき、消耗し、あまりにも悔しくてこらえきれなかった涙が、いつか不意に、せめて祝福の涙に変わる、そういう可能性が未来にほんの少しでもあるなら。
どうすればいいのかと真剣に生きている人が、真剣に生きている人とたまたま出会い、たがいの話を聞きあい、ともにつくりあげていく映画。相手の話を聞くヴィルジニー・エフィラのその顔に、勇気を持って未知の他者に開かれていこうとするあの顔に、強烈に惹かれた。真剣に聞きあうことの難しさを、面白さがはるかに上回る。
人生を賭けた本気の彼女たちに心から夢中になり、最後には、映画ってこんなに面白かったっけと呆気にとられて、映画が終わったあとも、なんだか新しい日々が続いている感覚があります。



【畠山丑雄のコメント】
これは出会いという凡庸な奇跡の延命についての壮絶な試みであり、延命ということばが引く残酷で劇的な一線を軽やかに越境し、劇場の外に赴こうとする勇敢な試みである。



【安藤なつ(メイプル超合金)のコメント】
医療福祉業界の人手不足、低賃金、ケアの質、ケア側のケアなどどこの国も同じ問題を抱えている。
現場での理想と現実のギャップを不可能を可能に少しずつ変えていけるかもしれない。
人間の尊厳、寄り添いとはなにか確認と理解ができる温かく希望の詰まった作品でした。



【折坂悠太のコメント】
気がついたら白んでいた空。その後の私を変えてしまった会話。
今までの全てが腑に落ちる、そんな光景。
点と線の時間はスクリーンを跨いで、帰り道まで共にある。
大切な人に、「必ず観てほしい」と伝えた。



【藤野千夜のコメント】
別れも驚きも、小さな言い争いも、すべてやさしく受け止めて、どの場面も愛おしい。自分ではない他人と、どうやって共によく生きるのか。人と違う、ということの同一性について、深く考えさせられる。



【ピンク地底人3号のコメント】
スクリーンの中でも、舞台は特別な場所のようです。


そこではあらゆることが相対化され、僕らに身体があることを思い出させてくれます。
人が、呼吸し、立って、歩いて、走って、止まって、誰かに、触れて、触れられる。
マリー=ルーと真理のマッサージ。
あのシーンが忘れられません。



【ブレイディみかこのコメント】
人生には様々な伴走者が現れる。
だが、死に向かう日々を一緒に走る人は、この世のすべての境界線、そしてあの世とこの世の境界線さえ溶け始めた世界を共に生きる、特別な伴走者なのだ。



【能町みね子のコメント】
所詮、病気も障害も国籍も人の一要素にすぎない、ある一点でその人を代表するなんてことはできない、という考え方が私はものすごく好き。だから、その考えに満たされたこの映画も好き。人間の細かいいいところの要素がたくさん詰まっていて、ファンタジーに浮き上がりそうだけど、現実へのものすごく太い根が張っている3時間。私はみんなの足をもみたくなった。



【國分功一郎のコメント】
この映画で出会うたくさんのからだたち。
他人のからだを洗うからだ、女性の乗った車椅子を押す女性のからだ、内側の力をそのままに表現する少年のからだ、服を脱いだ老女のからだ、演じる役者のからだ、触れ合いながら絡み合う複数のからだ。


このからだたちが、私たちに、やさしさとこの世界の厳しさとを教えてくれる。



【池澤春菜のコメント】
今正に、身近な人たちの病と死と認知症を目の前にしている。だから、この映画を見るのが怖かった。生きるのも死ぬのも、なんて難しいんだろう。だったら少しでも、愛する人の人生が美しいものと、誇りと、尊厳で充たされていて欲しい。眠れぬ夜に、静かに手を握ってくれるような映画だった。



【U-zhaanのコメント】
登場人物みんなが幸せでいられるようにと祈りたくなるような映画だ。
もしかしたらダイジェスト版を観たのではないかと一瞬本気で思ってしまったほど、本当に3時間16分が一瞬に感じた。

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