井上に敗れ、肩を落とした中谷(C)Lemino/SECOND CAREER/NAOKI FUKUDA

「なぜ中谷は攻めないんだ」

 5月2日に東京ドームで実現したボクシングの世界スーパーバンタム級統一王者の井上尚弥(大橋)との世紀の一戦で、挑戦者となった中谷潤人は、どちらかと言えば静かな立ち上がりを見せた。

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 常に中間距離を保ちながら、ステップインで懐に飛び込もうとする王者にカウンターを食らわせる機会を虎視眈々と狙い続けた。

本人曰く「(井上に)学ばせないというところでああいう戦い方になりました」という選択だったが、積極性には欠けた。

 実際、序盤4ラウンドはジャッジ全員が井上にポイントを与えた。そうした内容を目の当たりにし、SNS上では、国外ファンを中心に冒頭の疑問符を投げかける投稿が目立った。

 しかし、相手は、優れたボクシングIQを持つ百戦錬磨のモンスター。わずかな綻びすらも勝機に結びつける力がある。ゆえに“打倒・井上”を誓った中谷の選択に理解を示す声も上がった。

 米メディア『Boxing Social』などに寄稿するスポーツジャーナリストのカルロス・ライナス氏は自身のXで「多くの人たちは、ナカタニがスロースタートすぎたと口にしているが、そもそもイノウエのディフェンスワーク、そして彼のボクシングスタイルを読み解く難しさ、さらにあの距離間で戦う難易度の高さを評価すべきだと思う」と強調。見た目以上にハードな技術戦をこなした“最強挑戦者”を称えた。

 井上との攻防を「楽しみながらやれた」という中谷自身は、「さすがチャンピオン。ボクシングを作っていくのがすごく上手だなと感じました」と立ちはだかった怪物の凄みを素直に認めている。

 結果的に序盤4ラウンドのポイント差は、井上が勝利した判定決着(3-0)に小さくない影響を与えた。しかし、そのリスクを取ってでもカウンターを狙い続ける姿勢を徹底した中谷の戦法は、評価されてしかるべきだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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