井上と緊迫の攻防を繰り広げ、ハイレベルな差し合いを展開した中谷(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext

 東京から世界に発信された“激闘”に対する評価は揺るぎない。

 去る5月2日に東京ドームで実現した、ボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一王者である井上尚弥(大橋)と、WBA&WBC&WBO同級1位の中谷潤人(M.T)による一戦は、前者が判定(3-0)で勝利。

貫禄の防衛を果たした。

【動画】先読みし合いの異次元攻防 井上尚弥と中谷潤人が繰り広げた至高のパンチ合戦

 両雄が32戦無敗という状況で実現した“運命の一戦”は、まさに至高の技術戦だった。

 結果としてみれば、ド派手なKO決着でもなく、分かりやすいダウンシーンもなかった。しかし、会場に詰めかけた5万5000人が熱狂しただけでなく、NTTドコモが運営する『Lemino』で独占配信されたPPVの販売数が格闘技を通じた全興行トップに至った事実は、試合の影響力の大きさを物語った。

 お茶の間をも虜にした井上と中谷のマッチアップ。その内容は“ボクシングの本場”である米国内でも高く評価されている。

 元スポーツ専門局『ESPN』の敏腕記者で、スポーツジャーナリストのスティーブ・キム氏は、戦術的な駆け引きと打ち合いの両方が展開された試合を「名勝負と言うよりも堅実と言う方が正しい。それが正直なところだ」と評価。その上で「イノウエの素早さが全てを支配した。ナカタニはモンスターが繰り返す素早い出入りに全く対応できなかった」と分析した。

 この待望されたメガマッチを制した井上について「殿堂入りにふさわしい実績を積み重ね続けている」と称えたキム氏。一方でキャリア初の黒星が付いた“最強の挑戦者”には、さらなる成長を求めた。

「試合序盤、ナカタニはイノウエにやや敬意を払いすぎた感があった。そして、そこから後半にかけてチャンピオンに迫って、挽回していくための力が不十分だった。もしやり直せるなら、彼は試合開始からもっと積極的に攻めるだろう。とはいえ、この試合の大きさと相手の力を考えれば、堅実なパフォーマンスとも言える。ナカタニはイノウエとの対戦経験から確実に成長していくだろう」

 米ボクシング界でも小さくない衝撃を生んだ傑物同士のメガマッチ。その余波、試合終了から数日が立った今も続いている。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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