井上への飽くなき想いを明らかにしたバム(C)Getty Images

 東京ドームに詰めかけた5万5000人の観衆を熱狂させた激闘から約2週間――。「最強の挑戦者」とされた中谷潤人(M.T)に3-0の判定勝ちを収めた井上尚弥(大橋)。

WBCとWBOは8度目、WBAとIBFは7度目の防衛に、それぞれ成功した怪物を巡っては、早くも次戦の行方が小さくない話題を生んでいる。

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 相手の動きを読みあう攻防がフルラウンドも続く至高の戦いを制した井上。試合後の会見で「自分の口から言えることは今はないのかなと思う。あとは大橋会長を含め、今後のプランはあると思うので、そこから始めていきたい。今は僕の中では白紙です」と明言し、休養を優先する意向を示していた。

 ただ、いまや井上は世界にその名が轟くスーパースターである。当然ながら彼との対戦を熱望するライバルは少なくない。そうした中で、目下、次期挑戦者として有力視されているのが、現世界スーパーフライ級3団体統一王者であるジェシー“バム”ロドリゲス(米国)だ。

 他でもない井上自身も米誌『The Ring Magazine』において「それはもうタイミング次第ですね」と認めるマッチアップは、業界内でも話題性は十分。すでにありとあらゆるメディアにおいて実現の可能性が論じられている。

 無論、実現に向けて消化すべき課題はある。その中で何よりも懸念されるのは、将来的ンなフェザー級挑戦を示唆している井上とロドリゲスの階級差。

現時点で開きがある両雄が差を埋めるためには、挑戦者側が最低でもスーパーバンタム級にまで上げる必要があり、その間にベストコンディションが作りきれるか否かは気になるところだ。

 しかし、偉大なる“モンスター”に挑むのは、常に最強との対決を目指してきた26歳にとっても夢だ。現地時間6月13日に行われるWBA世界バンタム級休養王者アントニオ・バルガス(米国)との一戦を前に、米専門メディア『Boxing Scene』のインタビューに応えたロドリゲスは、「次に勝てば、スーパーフライ級からは完全に離れるつもりだ」と断言。そして、「イノウエとの試合は自分の中で避けられないものだ」と語った。

 陣営も井上への想いを強くする。トレーナー兼マネジャーを長年務める元IBF世界スーパーフェザー級王者のロバート・ガルシア氏は、「イノウエは自らが史上最高の選手の一人であることを証明し続けている。それは疑いようのない事実だ」と力説。その上で、「バムは、イノウエのパンチがどんなものか実感するために、少なくとも、あと2、3試合は上の階級(バンタム級以上)で戦う必要がある。スーパーバンタム級の実力派と対戦する必要もあるだろう」と今後の戦略を見通した。

 慎重にロドリゲスの未来を見据えたガルシア氏のコメントを伝えた『Boxing Scene』は、「軽量階級では、おそらく史上最大のビッグマッチとなるであろう二人の対戦は、いつ実現してもおかしくない時期が迫っている」と指摘。その上で、「26歳のロドリゲスにとって、階級上げはもはや避けられない。スーパーバンタム級への急激な増加は問題になるかもしれない」と分析した。

 一部報道で来年1月の日本開催が伝えられるスーパーファイト構想だが、はたしていかなる形で実現に向かうのか。まずは、ロドリゲスのバンタム級での初陣の内容が注目される。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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