トーク番組「おしゃれイズム」(日本テレビ系)でMCを務めている藤木直人。この人の不思議なのは、「トシをとらないこと」だ。


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もちろん若い頃の写真と今の写真を並べると、微妙に目尻のシワが増えていたり、微妙に経年変化は見られる。でも、基本ラインは一緒だ。

たとえば、人気ドラマから、映画化もした「ホタルノヒカリ」での“スマートで理路整然としていて、キュート”な「ぶちょお」役が非常に似合っている。

でも、これって、「ナースのお仕事」の朝倉いずみ(観月ありさ)の夫・高杉とほぼ一緒じゃないだろうか。

というと、女性視聴者たちには「“ぶちょお”のほうが断然カッコいい!」「ナースのときの高杉にはトキめかなかった」などと言われてしまいそうだが、求められる「王子様的な藤木直人」というポジション・空気は、不動のものに見えるのだ。

しかも、

「た~か~す~ぎ~~」とか

「ぶ~ちょお~」とか、若い可愛い女性に語尾を伸ばして呼ばれるのも、なぜかよく似合う。
ヒロインは時代時代で、そのときの旬の女優さんにかわっていくにもかかわらず、その「相手役」のほうは全然かわらないという不思議。少女マンガ・女性向け漫画が描く、理想の「恋人」像の一つの典型が、「藤木直人」なのだろうか。

同じく「トシをとらない男」というと、柳沢慎吾とか、陣内孝則とか、京本政樹とか、キャラの強い人はけっこういるけれど、「恋人」「婚約者」役でトシをとらない人というのは、ちょっと異色だ。

かつては石黒賢あたりがその席をずっと守ってきたのだろうけれど、「爽やか」で「好青年」の「恋人(婚約者)」役というのは、ドラマにおいていつの世もそれなりに需要があるわりに、常にやや人材難なのかもしれない。

石黒賢から渡されたバトンを、引き継いでくれる人がまだ見つかっていない、ドラマの「恋人(婚約者)」役の枠。

後継者が現れるまでは、ヒロインたちが次々にかわっていっても、藤木直人はまだまだトシをとるわけにはいかないのかも。
(文:田幸和歌子)