映画『スター・ウォーズ/マンダロリアン・アンド・グローグー』では『スター・ウォーズ』シリーズで初めてオープニングクレジットを採用している。来日したジョン・ファヴロー監督はインタビューに応じ、その理由について語った。

(※以下、内容に触れています。ご了承の上、お読みください)

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■「あえてオープニングクロールを入れませんでした」

 『スター・ウォーズ』といえば、「遠い昔 はるかかなたの銀河系で…」と字幕が上へ上へと流れていくオープニングクロールがおなじみ。しかしスピンオフ作品『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』などでは流れず、エピソードナンバー付きの映画以外ではお目にかかれないようになっている。今回の『マンダロリアン・アンド・グローグー』でも同様だ。

 本作では、簡単なあらすじが書かれたテキストが表示された後、すぐにマンダロリアン/ディン・ジャリン&グローグーの戦闘が始まる。ファヴローは「これまでの『スター・ウォーズ』映画とは違うものだと見せたかったんです。なので、あえてオープニングクロールを入れませんでした」と経緯を説明する。

 そんな中で今回採用されたのは、オープニングクレジットだった。ファヴローによると『スター・ウォーズ』シリーズ初の試みなのだとか。ジャリンたちの最初の戦闘の後、アデルファイ基地に戻ってくる場面で、タイトルロゴが流れ、テーマ曲の「The Mandalorian and Grogu」がスタート。基地の日常を背景にキャストとスタッフの名前が刻まれる。夕日をバックにしたXウイングなどから『トップガン』を想起した人も多いだろう。


 ファヴローは「これはオープニングクレジットが入る初めての『スター・ウォーズ』映画なんです。この演出に決めた理由の1つは、映画の世界を“現実のもの”として感じさせたかったから。『トップガン』のように、『スター・ウォーズ』の宇宙船や基地を“普通の環境”として見せたかったんです」と演出の意図を語る。

 撮影は基本的にロサンゼルス郊外にあるセットで行われたが、一部はファヴローが「すごく美しい場所」と称すカリフォルニアのラグナ・ビーチで撮られたそう。複数箇所で撮影した映像を組み合わせた後、多くのデジタル処理を施して同シークエンスが完成した。

 加えてオープニングクレジットには、怒涛の戦闘シーンの後に一度テンポを落とすという役割もあるとのこと。「ジョージ・ルーカスは撮影時に『もっと速く!』『もっと激しく!』と指示を出すという逸話がありますが、『スター・ウォーズ』は基本的にジェットコースターのようにとても速いテンポで進んでいく物語です。なのでオープニングクレジットがあると、ゆっくりと物語の世界を見せることができる。美しいライティングの中で、オリジナル・トリロジーからずっと続く宇宙船たちをじっくり映し出せるんです」と語る。

 ところで、オープニングクレジットで流れるテーマ曲は、ドラマシリーズのものからアレンジが加わっている。実は作曲家のルドウィグ・ゴランソンからリクエストがあったそうで、「ルドウィグが『もっと長い楽曲を書くための余白が必要だ』と言っていたのもあり、このシークエンスを作りました。彼の音楽は本当に美しいんです」とファヴローは言う。


 もともと『マンダロリアン』は映画のようなテレビシリーズだったが、本作で課題だったのは「どうやってさらに映画らしくするか」。「より大規模なセットを建てたり、IMAX用に撮影したり、ドラマシリーズでは時間やコストがかかりすぎて実現できなかったようなビジュアルエフェクトも使えたりしました。さらにフルCGのキャラクターによるアクションシーンも実現できた。以前の環境ではできなかったことばかりです」と映画だからこそ実現できた撮影方法を明かす。

 ドラマシリーズは1年で作らなければいけないが、映画には3年かけられる。「ドラマは何シーズンも続けるうちに、似たようなロケーションばかりになっていて、それがすごく制限になっていました」とファヴローは制作の限界を感じていたことも吐露。

 「ジョージ・ルーカスは『フラッシュ・ゴードン』から大きな影響を受けていて、僕たちも彼のインスピレーション源に敬意を払いたかった。あの映画はクオリティが高いとは言えませんでしたが、とてもスケールが大きくて、想像力にあふれていた。そういう意味でも、映画で余裕が生まれたことで、僕たちにはたくさんの可能性が開かれました。感覚としては、マイナーリーグでプレーしていた人が、突然チャンピオンシップの舞台に立つようなものに似ています。とにかく、映画を作れただけでもうれしいんです。正直、こんな機会が来るとは思っていませんでしたから」と喜びを顕にする。


 興行次第では、ジャリンとグローグーの冒険が再びスクリーンで見られるかもしれない。ファヴローは今後の展望について「初週でいろんなことが決まっていくでしょう」とコメント。「この作品のために観客が劇場へ来てくれるのか、見てみないと分かりません。もしも観客が本作のような作品を求めているのなら、今後さらに可能性が広がるかもしれないですね」と期待を込めた。銀河の運命は二人に託されている――。(取材・文:阿部桜子)

 映画『スター・ウォーズ/マンダロリアン・アンド・グローグー』は、5月22日より日米同時公開。

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