また、梨は、かつては「二十世紀」が圧倒的な地位を確立していたものの、近年は「幸水」「豊水」が人気を集めている。
りんごも、「ふじ」人気が長く続いているとはいえ、お菓子などには「紅玉」や「ジョナゴールド」が使われることが多いし、「ふじ」と「つがる」を交配させた「シナノスイート」、「ゴールデンデリシャス」に「千秋」を交配させた「シナノゴールド」がつくられたりしているし……。
にもかかわらず、さくらんぼはどうか。今も昔も、常に「佐藤錦」一人勝ち状態ではないか。
佐藤錦は、大正時代に、佐藤栄助が黄玉とナポレオンをかけあわせてつくった品種。「砂糖のように甘い」という意味も込めて付けられた名前だそうだが、なぜソレに取って代わる品種がいまだにあらわれないのか。
「全国さくらんぼ普及会」升本清さんに聞いた。
「さくらんぼにも、新しい品種はかなり出ていて、50~60種くらいはあるんじゃないでしょうか。価格的には、同じく山形産の『紅秀峰』のほうが上をいくこともあります。でも、結局、佐藤錦を超えられるものが出ないというのがまずひとつ。それから、他の果樹に比べ、産地が増えないということがあるんですよ」
「さくらんぼ=山形県」というイメージは強いが、実際には山形県内でもごく一部でしかならないというのが現実。そんななか、せっかく育った佐藤錦が枯れてしまわない限り、別の新しい品種を植えようということにはならないのだそうだ。