先日のコネタでもお知らせしたが、2008年は「国際カエル年」。このキャンペーン年の今年、東京・吉祥寺の井の頭自然文化園では、「カエルの文化面」をご紹介という形で、7月8日から12月28日にかけて、「小澤一蛙展―貴重なカエルコレクションの展示―」なるカエルグッズを集めた特設展示が開かれている(同園彫刻館B館にて)。
先週末に、この「小澤一蛙展」を紹介するガイドツアーが行われるということで参加してきた。案内してくださったのは、福島県喜多方市にある「100年カエル館」館長の高山ケロリさんと、カエルづくしの専門紙『カエルタイムズ』の編集長、高山ビッキさんのご姉妹。高山ケロリ&ビッキさんは、一蛙さんと同じくカエルにちなんだ名前で活躍している、カエルファンの間では知る人ぞ知るお二人。
本展は、故・小澤一蛙(いちかわず)さん(1876年~1960年)のコレクション群を公開したもの。小澤一蛙さんとはもちろん本名ではないが、小澤さんは造幣局に勤める傍ら、カエルグッズに魅せられ、収集をはじめとして、詩歌や童話などにおさめられたカエルについての研究も行っていた元祖カエルグッズ・コレクター。
お二人のお話によると、小澤さんがカエルグッズの収集をはじめたのはなんと1903(明治36)年! からだという。ただ、残念なことに1923(大正12)年の関東大震災でそれまで集めていた2000点ほどを失ってしまったらしいのだが、その後、再び収集をはじめて1960年に亡くなるまでに3000点くらいを集めたという。
小澤さん亡き後、それらコレクションは東京都小金井市の武蔵野郷土館(現・江戸東京たてもの園)に寄贈されていたが、今回、同館からお借りした品々を中心としたカエル・グッズ300点余が展示されている。
本展は、高山ケロリ&ビッキさんプロデュースの元、カエルを題材にしたグッズが「実用品のデザイン」「生物的特徴を反映したカエル」「さまざまな材質でつくられている工芸品」などカテゴリーに分けて展示されている。
「子どもたちのみならず、大人の方々もこの展示品を見て、自分にとって一番のカエルを探すのに夢中になってくれます。皆さんも是非この本展に足を運んでもらってお気に入りの“マイカエル”を見つけてもらえれば」と高山さん姉妹。
本展では、カエルの灰皿、調味料入れ、楊枝立てといった日常の生活で使用されていた実用品の品々や、土笛や太鼓などの郷土玩具、さらには当時のグリコのおまけのおもちゃ! も展示されている。
鳴き声が特徴的なところから生まれたと見られる自ら楽器を奏でる「音楽家のカエル」や、繁殖行動に伴うオス同士の戦いを相撲の取り組みに見立てた「カエル相撲」など、カエルの能力・行動をモチーフにした作品群も展示されている。
また、泳いでいる姿や、のどやほっぺにあるめいのうをふくらませている姿など、生物的特徴を捉えたリアルな動きが表現されているカエルグッズも。
さらには、木、土、竹、紙製のもの、一蛙さんの時代では新しいセルロイド、ガラス、ゴムなど、様々な材質でできている日本各地の工芸品も楽しむこともできる。
ラベルにカエルが載っているマッチ箱コレクションの展示が自分にとって興味深かった。
「こうして小澤さんのコレクションを眺めてみると、本当にカエルが好きで、骨董品を集めようというよりは、グリコのおまけにも現れているように、その時代にあるものは何でも、目に入るものを何でも収集していたということが見受けられます」と高山ビッキさんはおっしゃっていたが、この展示の品々を見ていると、ビッキさんの言うとおり、小澤さんの趣味人ぶりや、カエルが心から好きだったんだなぁと思いが偲ばれる。
また、これら小澤さんの作品群によって、江戸時代の伝統工芸を受け継いだ明治から昭和にかけての品々を通した時代の変遷が肌で感じられたり、さらには日本各地の作品を眺めていると、カエルと人とが身近に日常生活で関わっていたことが感じられる。
同彫刻館内では、同時に、「世界のカエルと日本のカエルの工芸品展」も開催されている。この展示会では、高山ケロリ&ビッキさんのおじいさんの代から3代にわたって収集したカエルグッズをおさめた「100年カエル館」からの作品群がラインナップ。
こちらの方は、小澤一蛙さんのグッズのコンセプトと共通すると思われるものを選別し、北海道から沖縄までの日本全国の、さらにはアジアからヨーロッパにかけた世界のカエルグッズを含めた300点余が展示されている。グッズの色使いや素材などを見ると、それぞれのお国柄が表れていてなんとも楽しい。
「小澤一蛙展」と「世界のカエルと日本のカエルの工芸品展」は12月28日まで。お気に入りの“マイカエル”を探しにきませんか?
(dskiwt)
先週末に、この「小澤一蛙展」を紹介するガイドツアーが行われるということで参加してきた。案内してくださったのは、福島県喜多方市にある「100年カエル館」館長の高山ケロリさんと、カエルづくしの専門紙『カエルタイムズ』の編集長、高山ビッキさんのご姉妹。高山ケロリ&ビッキさんは、一蛙さんと同じくカエルにちなんだ名前で活躍している、カエルファンの間では知る人ぞ知るお二人。
本展は、故・小澤一蛙(いちかわず)さん(1876年~1960年)のコレクション群を公開したもの。小澤一蛙さんとはもちろん本名ではないが、小澤さんは造幣局に勤める傍ら、カエルグッズに魅せられ、収集をはじめとして、詩歌や童話などにおさめられたカエルについての研究も行っていた元祖カエルグッズ・コレクター。
お二人のお話によると、小澤さんがカエルグッズの収集をはじめたのはなんと1903(明治36)年! からだという。ただ、残念なことに1923(大正12)年の関東大震災でそれまで集めていた2000点ほどを失ってしまったらしいのだが、その後、再び収集をはじめて1960年に亡くなるまでに3000点くらいを集めたという。
小澤さん亡き後、それらコレクションは東京都小金井市の武蔵野郷土館(現・江戸東京たてもの園)に寄贈されていたが、今回、同館からお借りした品々を中心としたカエル・グッズ300点余が展示されている。
本展は、高山ケロリ&ビッキさんプロデュースの元、カエルを題材にしたグッズが「実用品のデザイン」「生物的特徴を反映したカエル」「さまざまな材質でつくられている工芸品」などカテゴリーに分けて展示されている。
「子どもたちのみならず、大人の方々もこの展示品を見て、自分にとって一番のカエルを探すのに夢中になってくれます。皆さんも是非この本展に足を運んでもらってお気に入りの“マイカエル”を見つけてもらえれば」と高山さん姉妹。
本展では、カエルの灰皿、調味料入れ、楊枝立てといった日常の生活で使用されていた実用品の品々や、土笛や太鼓などの郷土玩具、さらには当時のグリコのおまけのおもちゃ! も展示されている。
鳴き声が特徴的なところから生まれたと見られる自ら楽器を奏でる「音楽家のカエル」や、繁殖行動に伴うオス同士の戦いを相撲の取り組みに見立てた「カエル相撲」など、カエルの能力・行動をモチーフにした作品群も展示されている。
また、泳いでいる姿や、のどやほっぺにあるめいのうをふくらませている姿など、生物的特徴を捉えたリアルな動きが表現されているカエルグッズも。
さらには、木、土、竹、紙製のもの、一蛙さんの時代では新しいセルロイド、ガラス、ゴムなど、様々な材質でできている日本各地の工芸品も楽しむこともできる。
ラベルにカエルが載っているマッチ箱コレクションの展示が自分にとって興味深かった。
「こうして小澤さんのコレクションを眺めてみると、本当にカエルが好きで、骨董品を集めようというよりは、グリコのおまけにも現れているように、その時代にあるものは何でも、目に入るものを何でも収集していたということが見受けられます」と高山ビッキさんはおっしゃっていたが、この展示の品々を見ていると、ビッキさんの言うとおり、小澤さんの趣味人ぶりや、カエルが心から好きだったんだなぁと思いが偲ばれる。
また、これら小澤さんの作品群によって、江戸時代の伝統工芸を受け継いだ明治から昭和にかけての品々を通した時代の変遷が肌で感じられたり、さらには日本各地の作品を眺めていると、カエルと人とが身近に日常生活で関わっていたことが感じられる。
同彫刻館内では、同時に、「世界のカエルと日本のカエルの工芸品展」も開催されている。この展示会では、高山ケロリ&ビッキさんのおじいさんの代から3代にわたって収集したカエルグッズをおさめた「100年カエル館」からの作品群がラインナップ。
こちらの方は、小澤一蛙さんのグッズのコンセプトと共通すると思われるものを選別し、北海道から沖縄までの日本全国の、さらにはアジアからヨーロッパにかけた世界のカエルグッズを含めた300点余が展示されている。グッズの色使いや素材などを見ると、それぞれのお国柄が表れていてなんとも楽しい。
「小澤一蛙展」と「世界のカエルと日本のカエルの工芸品展」は12月28日まで。お気に入りの“マイカエル”を探しにきませんか?
(dskiwt)
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