パソコンやケータイで扱う画像ファイル。JPEGやGIFなどの種類があるが、うまく使い分けないと、色々問題が生じることをご存知だろうか?
「".jpg"や".gif"といった拡張子(ファイル名末尾の文字)が違うだけ」なんて、単純なものではないのだ。


「ビットマップ」などと呼ばれる画像データは、点(ドット、ピクセル、画素)が格子状に集まったもので、それぞれ「モノクロ」なら白と黒の2色、「フルカラー」なら一般的に1677万7216色表現できる。1画素あたりのデータ量は、前者は1ビット(2の1乗=2)、後者は24ビット=3バイト(2の24乗=16,777,216)になる。
フルカラーの点を1つ1つ記録した、1200万画素(4000×3000ドット)のデジカメ写真だと、1200万×3バイトで、約34MB(メガバイト)と、巨大なデータサイズになる計算。しかし実際には、メモリーカードに記録された写真1枚のデータ容量は1枚2MB~5MB程度と扱いやすいサイズ。これはJPEG形式で、「圧縮」されているからだ。

実は、画像ファイル形式によって、対応する色数や圧縮方法が異なり、それぞれの特徴を踏まえて使い分けられている。

では具体的に、よく使われる代表的な画像ファイル形式とその特徴を紹介する。[ ]内は読み方、( )内は拡張子だ。

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◆BMP[ビーエムピー](*.bmp)
非圧縮。白黒からフルカラーまで対応。Windowsの標準で「ペイント」でもおなじみの形式。
◆JPEG[ジェイペグ](*.jpg/*.jpeg)
不可逆圧縮で、フルカラー対応。
デジカメ写真などで標準的な形式。圧縮率を調整できる。
◆GIF[ジフ、ギフ](*.gif)
可逆圧縮だが、色数は256色まで。アニメーション機能(パラパラマンガ)や特定色の透明化が可能。
◆PNG[ピング](*.png)
可逆圧縮で、フルカラー対応。半透明にも対応。
一部ケータイが未対応。
◆TIFF[ティフ](*.tif/*.tiff)
非圧縮と可逆圧縮・不可逆圧縮すべてに対応。複数画像を1つのTIFFファイルに格納できる。
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BMPは基本的に非圧縮なので、データサイズがとても大きい(重い)。だから通常、特にネットやメールでは、圧縮されたJPEG、GIF、PNGが使われる。

データ量を小さくする「圧縮」だが、「可逆圧縮」と「不可逆圧縮(非可逆圧縮)」がある。
「可逆圧縮」は元データを損なわない方法で、圧縮・展開しても画像が全く変化(劣化)しない。対して「不可逆圧縮」は圧縮により画質が劣化してしまう方法。データを間引くことで圧縮率を高める、ちょっと強引な方法だ。

JPEG(不可逆圧縮)の画質劣化とは、具体的には、輪郭がボケたりノイズが発生して画像が汚くなること。少々そのような劣化があっても気にならない「自然画」、つまり写真に使われる。圧縮率を高めればデータサイズはより小さくなるが、より劣化する。


GIFは画質の劣化がないので、線がくっきりとしたイラストや線画などの「人工画」に適している。色数も256色までだが、色を多用しないイラストやグラフなどなら問題ないし、アニメーション機能なども便利だ。

PNGは劣化もなく、色数の制限もない。色数が多い写真などでは劣化しない分、JPEGほど圧縮できないが、GIFとは同等以上の圧縮性能。ただし、アニメーション機能はない。

そしてTIFFはというと、一見機能的には万能だが、逆にその機能に多くのソフトが未対応だったりと、初心者には厄介な面も多い。


これらのような特徴があるため、画像関する”禁止事項”は色々ある。グラフはJPEGで保存は禁止(線が汚くなる)。写真をGIFで保存は禁止(減色で色が変に)。編集中画像のJPEG保存は好ましくない(保存の度に劣化する)。などなど……。

通常の使い分けでは、「BMPが基本、PNGは軽量保存用。JPEGは写真のみ。GIFはアニメ機能・ケータイデコメ用」のようにざっくり覚えておけば十分。画像ファイル形式や機能は他にも多数あるし、厳密にはもっと奥が深い分野だが、マニアの領域だと思っても差し支えないだろう。

では最後に、○×問題を6問出題!

◇問1:エクスプローラの「名前の変更」で、"無題.bmp"を"無題.png"に変えた。
◇問2:表計算ソフトExcelで作ったグラフをGIFで保存した。
◇問3:大きなイラストをBMP形式で保存、メールに添付した。
◇問4:デジカメ写真の編集途中に、BMPで保存した。
◇問5:モノクロでスキャンした書類をJPEGで保存した。
◇問6:データ量をとにかく小さくしたいので、JPEGの圧縮率を高めた。

【答え】
問1:×(画像形式の変換は画像編集ソフトでやる)、問2:○、問3:×(GIFかPNGに変換して軽量化すべき)、問4:○、問5:×、問6:△(バランスが重要)

※当記事は初心者向けとして、筆者が独自に解説したものです
(もがみ)