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かつて自動車はバラ色の未来を見せてくれた『自動車と建築』

       
名古屋を代表する建築・構造物といえば何だろう。栄のテレビ塔やオアシス21、名古屋駅のJRセントラルタワーズやミッドランドスクエア……色々と思い浮かぶけれども、私としては、名鉄バスセンターを推したい。

名鉄バスセンターは、「名鉄バス・ターミナルビル」という建物のなかにある。このビルは、地下にある名鉄名古屋駅のホームの上に20階建ての高層塔屋が載るという形をとっていて、名鉄本社や名鉄グランドホテル、名鉄百貨店メンズ館が入るほか、3、4階がバスセンターに、5、6階と地下1階部分が駐車場にあてられている。バスセンターと5、6階の駐車場からはビルから南側に向かって斜路が伸び、大通り(広小路通)をまたいで笹島という街区にまでおよんでいる。建物本体の全長は約175メートル、斜路を含めるとじつに300メートルを超える。このバスセンターは私も子供のときから利用してきたけれど(ナガシマスパーランドへ行くときなど、ここから三重交通のバスに乗ったっけ)、バスに乗っていると斜路をあっというまに下ってしまうので、そのスケールをあまり意識したことはなかった。しかし、建物の外から回ってバスの出入り口まで歩いてみると、その大きさが実感できる。

堀田典裕『自動車と建築』によれば、1967年に竣工したこの建物は、1970年時点における一日あたりの乗降客を15万人として、一日最大3000台のバス発着を見込んで計画された日本で初の本格的なバスターミナルであり、当時、諸外国にも同じ規模の適当な事例が存在しなかったという。それだけに計画にあたっては、路線バス運行の現況や人の流れなどさまざまな方面から検討を重ねられた。その建設にあたっても、「高硬度遠心力鋳鋼管(Gコラム)」という、もともと地下鉄や高速道路の柱として用いられていた構造材が採り入れられるなど、どちらかというと建築物というよりは土木構造物というべき構造になっている(バスセンターはあくまでビルと一体になっているにもかかわらず、である)。設計を手がけたひとりである建築家の谷口吉郎が、「建築の形をした交通の立体ブロック」と表現したのも納得がゆく。

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2011年7月11日のレビュー記事

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