振り切ったタイトル。脱退して開き直った?迷走してる?と思う方も多いかもしれない。しかし実は山Pファンや、山Pの活動を知るジャニーズファンにとってそこまでの衝撃はなかったりする。NEWS所属中からソロとして活動していた山Pのシングルタイトルを見ていけば、もうすでに免疫があることがわかるかもしれない。「抱いてセニョリータ」、「Loveless」、「One in a million」、「はだかんぼー」、「愛、テキサス」、「LOVE CHASE」。
初めにくるのはまず違和感。でも一度聞いたら忘れられない響きと字面。いざ曲を聞いてみたら、疑心暗鬼だった心を打ち砕かれるような、洗練されたサウンド。そして決して下品になることなく、美しく完璧にやりきるパフォーマンス。おふざけはない、とことん大真面目なプロのアイドルがそこにいる。
アルバムのタイトル曲でもある「ERO -2012 version-」をミュージックステーションで披露した際も、半笑いで「なんでエロなの?(笑)」と聞くタモリさんを軽く冗談でかわしつつも、さっそうとカメラの前に立った。だてに11歳でジャニーズ事務所に入り、Jr.時代から前列で活躍していた実力者じゃない。ターンのキレ、完璧なタイミングと角度のカメラ目線、ジャケットをひらりひるがえして一瞬だけ二の腕とワキのあたりの素肌を見せる絶妙すぎるチラリズム。やることすべてがため息ものの揺るぎないアイドルがそこにはいて、「エロ?なにそれ(笑)」と笑っていたことなんてキレイさっぱり吹っ飛んでしまう。
バックアップする面々も超一流。「ERO -2012 version-」は、作詞を野島伸司、作曲を前山田健一(ヒャダイン)が担当。他にもアルバム内ではJeff Miyahara、大橋トリオ、ナオト・インティライミ、Rake、やくしまるえつこ等が楽曲を提供している。アルバムリリース直前の7月4日にリリースしたシングル「LOVE CHASE」も、MONKEY MAJIKプロデュースと豪華だ。
初見、初耳で「え?それってダサくない?」とさせるのは、もはやジャニーズのお家芸。今では国民的アイドルとなった嵐だって、デビュー曲の「A・RA・SHI」をミュージックステーションで初披露した際、パンツ部分以外がスケルトンになった、まるでビニール傘かゴミ袋のような素材の衣装で登場して視聴者を驚かせたし、そもそも嵐という漢字一文字のグループ名にはメンバー自身が目を疑い嫌悪感を抱いたというのは今となっては笑い話。コンサートでも、衣装が「ん?ヒラヒラしててかわいい、…というか…、てるてる坊主みたいでちょっと変じゃない?!」と、これは素敵だ!と断言できずに少しの違和感を抱くものが多い。過去にさかのぼれば、シブがき隊の「スシ食いねぇ!」だって、作品として全力でやっている姿はかっこいいけれど、曲を知らずにまず歌詞だけ渡されて読んでみたらなんだかすごい振り切り方だったりします。
と、私自身がここ最近勝手に確信していたようなことを、山P自身も語っておりました。レギュラーラジオ「山下智久 Cross Space」(TOKYO FM/毎週金曜23:30~23:55)で、二週にわたって「エロ」について。
■なぜ「エロ」?
アルバムのタイトル候補はいくつかあった。カッコイイ横文字を並べたものだとか。ただ、横文字を並べたカッコイイものなんてもう既に世の中にたくさんある。もちろんカッコつけたい気持ちだって僕にもあるけれど、ここであえて直球でいかずに、インパクトを与えることが必要だと思った。「エロ」なんて、「バカ」とか「アホ」並みのインパクトありますよね(笑)
■「エロ」に込めた意味
「エロス」が神話のなかで愛の神様っていう意味もあるし、人間のそもそもの根本が「エロ」だから。つまり原点に返るという意味がある。「エロ」は僕のモチベーションであり、挑戦。
■「エロ」への取り組み
アルバムタイトル曲「ERO -2012 version-」では、大人の切なさを表現するためデモテープにはなかったストリングスをプラスするよう提案したり、Jeff Miyaharaと共作した「Hit the Wall」では、Jeff Miyaharaの家に出向いて自らコード進行や音質を提案。
「エロ」というタイトルと、まるで人形のように整いすぎた顏だちからはなかなか読み取りにくい、真摯で前向きな姿勢がある。タイトル曲「ERO -2012 version-」で作曲・編曲をつとめたヒャダインからは、「高級感があって妖艶。あのエロさを出せるのは、ジュリーか山P」という絶賛の声まで届いた。
「TOMOHISA YAMASHITA LIVE TOUR 2012 ~エロP~」とこちらも完全に振り切ったタイトルのライブツアーは7月28日(土)からスタート。大阪・横浜・福岡・北海道・名古屋・東京と、6会場11公演を約一か月間でまわる。
ちなみにこのアルバム「エロ」は、初回限定盤A・Bそして通常盤の他に、オンラインでのみ手に入る「山下智久SHOP限定盤」というものも存在し、ワーナーミュージック・ジャパン内の山下智久SHOPで購入できる。この「山下智久SHOP限定盤」についてくる特典グッズは、アンダーウェア。つまりパンツです。ここまでやられると、もうとことんついていきたくなります。そしてあの完璧な美貌とアイドル性があってこそできる、この挑戦。山P、素敵です!(夏トマト)