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水道橋博士の決意を読み解く『藝人春秋』

水道橋博士の決意を読み解く『藝人春秋』
『藝人春秋』水道橋博士/文藝春秋
語り部は自分語りをしない。
語り部が自分について語るときは、何かのためという他の目的が必ず存在する。それを多くの人に伝えられれば、自分の存在は無に近いものであっても構わないと語り部は考えている。

水道橋博士という芸人がいる。一般には「浅草キッドの小さいほう」、「前科があるほう」で通じるはずだ。過去に芸人としての受け狙いで変装した写真で自動車運転免許を何度も取得し、道路交通法違反で罰金刑を受けたことがある。師匠ビートたけしの懲役6ヶ月執行猶予2年という判決とは比べものにならない微罪ではあるが。
本読みの間では水道橋博士は、自らの見聞したことを文章という形で後世に残さなければ気がすまないルポルタージュ芸人として知られている。博士が相棒の玉袋筋太郎とのコンビ、浅草キッド名で世に問うた『お笑い男の星座』は、梶原一騎の未完の自伝『男の星座』に題名を倣った名著である。この中で博士は、芸能界の花形たちを手の届かない星にたとえた。自分は、いつかは星をつかみたいと感じながらも地上にいる存在にすぎないと宣言し、星たちの数々のエピソードを書き記したのである。
すなわち、語り部だ。
『藝人春秋』は、その水道橋博士がひさびさに世に問う、芸人列伝の一冊である。

収録原稿の大半は2000年代の前半に高田文夫責任編集の演芸マガジン『笑芸人』に掲載されたものである。2011年に電子書籍としていったんまとめられ、取捨選択の上今回紙の本として刊行されることになった。最初から始めて最後まで読まれるという、紙の本ならではの特質を活かし、大きく分けて3部、序破急の構成になっている。

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