3・11の後、災害対策を真剣に考えるようになった方は多いことだろう。内閣府は先ごろ、10日分の食糧を家に備蓄することを勧める内容の法律を布告した。
これを受けて、家の防災グッズを少しずつでも備えておられるかもしれない。

出先、たとえば会社や学校などで被災した場合を想定した対策はどうだろう。

4月にバングラデシュで、8階建てビルが崩壊した最悪の事件について考えてみたい。16日ぶりに女性が1人がれきの中から救出されたことが話題になったが、がれきの中から自分の居場所を知らせる方法について改めて考えさせられた。

がれきの中から自分の居場所を知らせるアイテムと言えば、携帯電話。しかし常に持っているとは限らない。かばんの中、机の上に置いている方もいるだろう。

オフィスワーカーが常に身についているものの中に名札がある。そしてこの名札にホイッスルが付いているものが登場した。「レスキュー名札」。オフィス家具や文具・事務用品を扱うメーカーのライオン事務器から販売されている商品である。

名札にホイッスルを付けるアイデア、どうやって生まれたのだろうか。


「震災以降、防災用ホイッスルの需要が高まっておりますが、常に身につける必要がある商品にも関わらず、サイズが大きいものや、蛍光色を使ったものが多く、携帯に不向きであると感じていました。そこでビジネスパーソンが自宅以外の場所で常に身に着ける名札に着目し、名札に取り付けても邪魔にならないスリムなホイッスルを付属させ、『スタイリッシュな防災グッズ』をコンセプトに開発致しました」と担当者。

「レスキュー名札」がどんな名札かというと、名札にスリムで軽量なホイッスルが付属したもの。災害用ホイッスルは、人間の耳に最も届きやすいとされる約3000Hzの音が出せる。一般的な成人男性で約95dbの大きな音が出せるらしく、「レスキュー名札」のホイッスルは、軽く吹くだけで音が出るし、声を出せなくても助けを求められる仕組みとなっている。

また「レスキュー名札」はセパレートパーツ(分離機構)付きなので、必要以上の力で引っ張られるとセパレートパーツが2つに分かれ、ストラップが首から外れる。ストラップが引っ掛かり、巻き込まれるような事故から身を守れる安心構造となっている。

「防災グッズ」の一つとして着目・開発された「レスキュー名札」は、セキュリティ系や、医療系の専門媒体にも取り上げられ、多方面から注目されているらしい。ホイッスル単体(1個\157〔税込〕)で購入できるのもうれしい。商品は全国の文房具店で販売されている(取扱いのない場合はお取り寄せ)。

子どもたちが防災ずきんを椅子のクッションにしているように、オフィスワーカーはホイッスルを名札に付けてみたらどうだろう。防災に対する意識が高まる中、「レスキュー名札」が普及しそうな気配がする。

(W.Season/ Studio woofoo)
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