最近、食品メーカーのレシピ本が増えているが、今度のレシピ本は超ベーシックなアイテムが主役! そのアイテムとは、1645年創業の老舗、ヤマサ醤油が1997年に発売した家庭用めんつゆ「昆布つゆ」だ。

家庭用めんつゆ……と紹介はしたものの、実際はめんつゆに使うだけではもったいないマルチな1本。
昆布ならではのまろやかな味わいで、煮物や汁物のだし代わりにもぴったり。また、メインのだしである昆布に加え、サブのだしとしてかつお節も使っているので、味の相乗効果でうま味が格段にアップしているのが特長だ。

2月19日に発売されたヤマサ醤油株式会社監修『ヤマサ「昆布つゆ」万能レシピ』は、そんな昆布つゆを使った全105レシピを掲載している。肉じゃがや煮物など定番の和食料理はもちろん、なかには本格的なフレンチやイタリアン、さらに中華のレシピまである!

使い方は実に多彩。炒め物の味付けに使ったり、肉や魚の漬けだれに活用したり。はたまたイタリアンやフレンチのソース、サラダのドレッシングに使ったり。
予想の斜め上をいく万能ぶりだ。

さっそく私も作ってみた。数あるメニューのなかから選んだのは、フレンチのテイスト香る「チキンソテーの粒マスタードソースがけ」。実はちょっとチャレンジングなメニューを選んだつもりだったのだが、作ってみると拍子抜けするほど簡単でビックリ。粒マスタードに昆布つゆとヨーグルト、こしょうを加えて作ったソースは、酸味と辛みのバランスが絶妙。あらかじめ昆布つゆにもみこんでおいた鶏肉もやわらかくて食べやすい。
「なんだかビストロの味かも!」と思わず自画自賛したくなる出来栄えで、家族にも大好評だった。

同レシピ本発売のきっかけは、ひとり暮らしの編集者奥山典幸さんが、以前から昆布つゆをだし巻き卵や豚キムチに加えるなどして愛用していたから。
「だしを取らなくていいし、コストパフォーマンスもいいので、レシピ本になるのではと考えました」
企画書にまとめ、料理書を担当している講談社の大川朋子さんに相談したのがきっかけ。

ちなみにフレンチやイタリアンにも使えるというのは、奥山さんの勧めで昆布つゆを使いはじめた大川さんのアイデアだ。
「ヤマサ醤油のホームページにも昆布つゆを使ったパスタが載っていますが、和風なものが多いです。昆布つゆのうま味を活かせば本格的なフレンチやイタリアンでも、カンタンに作れるのではと思ったんです」
そこで料理家の五十嵐夫妻や奥田和美さんにレシピ制作を依頼。
バラエティに富んだレシピが誕生した。

全105のレシピのなかには、昆布つゆを使ったユニークなダイエットレシピ「大盛りダイエット」もある。これは低カロリーの食材を昆布つゆのうま味を使っておいしく食べてやせようというもの。私も試しに「大盛りダイエットナポリタン」も作ってみたのだが、具は野菜のみにも関わらず、うま味たっぷりで大満足。麺をゆでる際、お湯に塩ではなく昆布つゆを入れるのが新鮮だった。

「料理があまり得意でない方でもバッチリ味がきまるので、若くひとり暮らしをしている方にも、ぜひ使っていただきたいです。
意外なメニューが作れるので、昆布つゆに馴染みがない人にも広まればと思っております。味付けが不安なときに加えると必ずおいしくなるので、1本あるととても便利です」

紹介されているレシピは、どれも簡単で材料もシンプルなものばかり。肉、魚、和洋中、なんでもそろうので、夕飯メニューに困ったときにも力強い味方になってくれそうだ。
(古屋江美子)