review

金曜ロードSHOW「平成狸合戦ぽんぽこ」「左」の高畑勲だから描ける真実、滅びのリアル

       
決起集会を開き、抵抗運動を繰り広げ、ある者は玉砕し、ある者はサラリーマンに化けて人間社会に溶け込んでいく。いかにも60〜70年代の学生運動に参加した学生達の戦いやその後の身の振り方を連想させ「全共闘世代のカリカチュア」とレッテルを貼られがちです。

多摩丘陵を開発する人間が体制サイド、抵抗する狸達が反体制とすれば、本作の視点は後者であり、「左」視点には違いない。しかし、リアリズムを徹底する高畑アニメにおいては「左から見ている」、狸コミュニティの中にカメラを置いている以上の意味はありません。
高畑リアリズムの原点は、商業アニメとして初めて海外ロケをした『アルプスの少女ハイジ』。それ以降『母をたずねて三千里』ではアルゼンチン、『じゃりン子チエ』制作にあたっては大阪を取材し、庶民の息遣いや空気感まですくい上げています。先週放送された『おもひでぽろぽろ』(本作の前作に当たる)でも山形県・高瀬地区をリサーチし、紅花畑や有機農法など「農家の嫁」の前提を踏み固めていました。

さらに『火垂るの墓』においては視点のリアリズムを導入。原作では美化されていた姉弟二人きりの生活の真実、兄の浅はかさや「不誠実な語り手」であることを暴き出したのは、以前の記事でも触れたとおりです。
高畑監督のカメラの前には、敵も味方もなし。そこに起こる事象のすべて、組織の内輪もめや現金をちらつかされて運動が四分五裂、化ける能力の有無で生活レベルも変わる格差社会の縮図まで、不都合な真実も含めてフラットに映しているのです。

あわせて読みたい

レビューの記事をもっと見る

トピックス

今日の主要ニュース 国内の主要ニュース 海外の主要ニュース 芸能の主要ニュース スポーツの主要ニュース トレンドの主要ニュース おもしろの主要ニュース コラムの主要ニュース 特集・インタビューの主要ニュース
「金曜ロードSHOW「平成狸合戦ぽんぽこ」「左」の高畑勲だから描ける真実、滅びのリアル」の みんなの反応 1
  • 匿名さん 通報

    子どものとき何気なく見ていましたが、大人になってみると気付かされる映画でした。 私も労働組合の問題に振り回されたからでしょう。

    1
この記事にコメントする

トレンドニュース

トレンドランキングをもっと見る

コメントランキング

コメントランキングをもっと見る
2015年8月28日のレビュー記事

キーワード一覧

エキサイトレビューとは?

エキレビ!では人気のドラマやテレビアニメ、話題の書籍を人気ライターがレビュー、解説! 人気ドラマのあらすじや、話題の書籍が支持される理由の考察、国民的アニメに隠された謎の解明など話題の作品の裏話を紹介。エキサイトニュースは、最新ニュースをすばやくお届け。

その他のオリジナルニュース

通知(Web Push)について

Web Pushは、エキサイトニュースを開いていない状態でも、事件事故などの速報ニュースや読まれている芸能トピックなど、関心の高い話題をお届けする機能です。 登録方法や通知を解除する方法はこちら。