
78話はこんな話
明治12年のお正月を前に、加野家ではみんな支度に大忙し。あさ(波瑠)も張り切るが、各々の持ち場がすでにあり、居場所がなく途方にくれる。その頃、亀助(三宅弘城)は、ふゆ(清原果耶)の縁談に気を揉んでいた。
今日は亀助、うめ回
年明け、第1回の冒頭、これまでの振り返りが、亀助とふゆのエピソードが主であったことに、びっくりぽん。最後に、とってつけたようにあさと新次郎(玉木宏)のことが語られるのだった。主人公たちに関しては、お正月の総集編で充分であるという判断なのだろうか。
振り返るだけあって、本編も亀助とふゆの話が多め。暮れの最後の回で、新次郎とじりじりトークをしている流れで、唐突ではないとはいえ、年明け第1回にしては、地味なエピソードではないか。我らがあさちゃんは、あきらめモードの亀助にがんばってみてはどうかと励ます係。お正月の支度に参加できなかった彼女が唯一見つけた居場所が、うどんづくりと亀助を励ます係だったとは、それはそれでちょっといい話。うどんの話と初転びの話は御役立ち話だった。お正月に転ぶの「初転び」と言って演技がいいそうだ。
お正月らしいにぎわいは、みんなが働いている活気ある姿を映し、明治初期のお正月の風物を楽しませてくれて、クリア。
ここでは、豪華に最新技術が駆使された。その使いどころがまたもびっくりぽん。あさが手を滑らせて割りそうになった大事なお皿を、うめ(友近)が2枚とも鮮やかにキャッチする場面で使用された。危機を察知して、きっと視線を動かすうめ。お皿がゆっくり飛んでくるのを、両手で1枚ずつ受け止める。ここだけ違う作品みたい。
あさが本格的に銀行家として走り出す舞台の前座を、亀助、うめが立派につとめたというところか。名女中、名番頭だ。
(木俣冬)
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