朝ドラ「あさが来た」(NHK 月〜土 朝8時〜)1月6日(水)放送。第14週「新春、恋心のゆくえ」第81話より。
原案:古川智映子 脚本:大森美香 演出:新田真三
いけずな五代とふゆ「あさが来た」81話
イラスト/小西りえこ

81話はこんな話


縁談が着々と進みつつある中、ふゆ(清原果耶)が密かに思い続けてきた相手が新次郎(玉木宏)であることを、亀助(三宅弘城)は知る。あさ(波瑠)はふゆの想い人が誰かは知らねど、なんだか気になって、「ドキドキする〜」のだった。


ふゆ、ささやかにあさへの復讐


姑・よの(風吹ジュン)の「いけず」エピソードを発端に、「あさが来た」では登場人物が時々「いけず」(意地悪)する。
81話では、五代とふゆが「いけず」だった。

まず、五代。
「東京での秘密」「夜になると時々、気持ちのコントロールがつかなくなりまして」とわざとそんなことを言いだして、新次郎に焼きもちを焼かせる。
「ぼんくら亭主だと思ってた」新次郎が、自分が推進する商工会議所に入るように大阪の商人たちに勧めてくれていたことに驚きながらも、やっぱり、あさを独り占めされて悔しいらしい。

そして、ふゆ。
このまま縁談を進めてしまっていいのか心配するあさに、あこがれている女性がふたりいると言い、さらっと、はつ(宮崎あおい/崎の大は立)とうめ(友近)の名前を出す。
当然ながらがっかりするあさに、「あ!」と慌ててフォロー。でも、あからさまにとってつけたような褒め言葉では、あさの萎えた気持ちが復活するわけもない。
これ、仮に、五代と違って意識的にやっているわけではないとしても、潜在的にある新次郎の奥さんを認めたくない気持ちがそうさせているとしか思えない。
ふゆにいちいちがっかりさせられるあさの微妙な表情の変化が可笑しくて可笑しくて。


五代とふゆのほのぼの「いけず」になごんでいたら、「ふゆの恋心がこの後とんでもないことを引き起こしてしまうのです」とナレーションが入って、びっくり。あさまで「ああ、ドキドキする〜」って。
ふゆは何を起こすのか!

ところで、ふゆの言う「おあさ様をおなごの一生かけてお守りするうめさん」という表現も聞き逃せない。この時代、結婚しないで、女中として、仕えた家のお嬢さんを守る仕事があったわけで、親の決めた人と結婚することも不自由だが、結婚、出産をしないまま、他人の子供に仕え続けるのも不自由であろう。そんな宿命を背負ったふゆやうめの恋を描くことにも意義はありそうだ。
(木俣冬)
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