「新・牡丹と薔薇」(東海テレビ、フジテレビ 毎週 月〜金 ひる1時25分〜)1月14日(木)第30話「急接近!!病室で育む愛」より 原作・脚本:中島丈博 演出:藤木靖之
なぜすっぽんのスープなのか「新・牡丹と薔薇」30話
イラスト/小西りえこ

なぜ、すっぽんのスープ


重傷を負い病院で手術を受けた瀬尾綱輝(片岡信和)。ひょうたんからコマ、朝まで見舞った富貴子(黛英里佳)は綱輝といい感じになります。
それを「透明な時間が流れて」と詩的に表現する富貴子。
その後、入院している綱輝にいやにかいがいしくお世話。でも、いきなり、すっぽんのスープを持参するって頑張り過ぎ。しかも、なんで、あの縁起の悪い指輪を気に入ってしているのかも謎過ぎます。
すっかりいい彼女みたいになっていて、田舎から来たお母さんもにっこにこ。
そのお母さんと綱輝の素朴な関係性を見て、かわいらがられて育ったひとは生きることに自信がある、と綱輝に言う富貴子を見ていると、やっぱり、富貴子は育ちにコンプレックスがあるのかなあ、と思ってしまいます。
短い間にどんどん恋して、もう3人めですが、それも、彼女の欠落感のなせる技でしょうか。フラフラしてますよね、なんか。
絵になる美男美女ですし、さっさと幸せになってほしいですが、当然、美輪子(逢沢りな)は愉快ではありません。いまや、美輪子のじとっとした大きな瞳が、このドラマの楽しみのひとつになっております。
もうひとり、富貴子と綱輝の仲を快く思わないのは、世奈子(田中美奈子)です。病院に来て、富貴子のもってきた薔薇を捨てて、牡丹に代えてしまいます。

一番可哀想なのは、ひとり娘のぼたん(黛英里佳)を失っている世奈子なのかもしれません。世奈子は崑一(岡田浩暉)と離婚してからずっと独身を貫いているのも、心の傷がそうさせるのでありましょうか。世奈子の精神状態も心配です。
でも、やっぱり「違う違う」とじとっと斜め上目線でお怒りの美輪子女王様のほうが激しい。次に何かしでかすのは、美輪子か世奈子か。
(木俣冬)
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