今年、惜しまれつつ亡くなった演出家の蜷川幸雄氏。告別式では大竹しのぶや藤原竜也らが弔辞を読んでいた。
彼らをはじめ、演出家として多くの芸能人と関わってきた蜷川。篠原ともえもまた、蜷川の舞台に出演するなど、親交がある人物のひとりであった。

そんな篠原は、かつて当媒体で実施したインタビューにおいて、蜷川とのこんなエピソードを語ってくれていた。

蜷川幸雄を驚かせた篠原ともえ


2008年、篠原は蜷川演出の舞台『表裏源内蛙合戦』に出演。その舞台の稽古で見た様子を篠原はこう語った。
「舞台の稽古に行ったらみんな怯えて近づかず、蜷川さんがお一人でいらしたんです」
それはそうだろう。生前の蜷川といえば、役者に対する厳しい演技指導がたびたび話題になっていた。灰皿を投げつけるエピソードは有名すぎるほど有名。

しかし、篠原は周囲も驚くような行動に出る。なんとあの蜷川に対し、「蜷川さん!ニャンニャキニャーン!!」と大声を出しながら、そばに近づいたのだ。蜷川の反応を篠原はこう振り返る。
「『ワー!!』と凄くびっくりされて(笑)」

蜷川も、いつもは大きい声で怒鳴る立場であるが、逆に自分が大声を出される経験は滅多になかったのだろう。驚くのも無理もない。

好意的に受け取った蜷川幸雄


しかし、そんな他の人が絶対にしないだろう篠原の行動を、蜷川はとても好意的に感じていたのだとか。後日、篠原は蜷川が他のキャストに対して、「おまえらも篠原みたいにニャンニャキニャンして、アピールしなさい」と語っていたことを知る。
とはいえ、あの蜷川に実際に「ニャンニャキニャン」できたのは、後にも先にも篠原ただ一人だろう。

篠原ともえの"らしさ"を感じると同時に、それを好意的に受け取る蜷川の人間的な深さを感じることができるエピソードだ。

※イメージ画像はamazonよりザ・ワンピース 篠原ともえのソーイングBOOK