『浅草橋ヤング洋品店』(テレビ東京・1992~99年)の名物コーナーに「中華大戦争」があった。周富徳・周富輝兄弟や金萬福といった中華料理界の巨匠たちが料理対決をするという企画だ。

90年代の料理対決番組といえば、『料理の鉄人』(フジテレビ系・1993~99年)の知名度が非常に高い。『料理の鉄人』と同時期に料理対決のコーナーを開始した『浅ヤン』について、「中華大戦争」を知らない方は「パクり?」と思われるかもしれない。

だが『料理の鉄人』と「中華大戦争」は似て非なるものだ。というか、完全に別物である。真剣な料理対決を売りにしていた『料理の鉄人』に対して、「中華大戦争」の料理対決シーンはあくまでおまけで、メインは料理人たちが謎のパフォーマンス合戦を繰り返すおふざけコーナーなのだ。

なぜ中華料理人たちはドタバタ喜劇役者になっていったのか――。

周富徳登場、中華大戦争勃発!


最初に『浅ヤン』に登場した料理人は周富徳だった。周はまだテレビで有名になる以前で、街の中華料理屋に素人と称して弟子入りし実は有名料理人だったといったドッキリコーナーに出演していた。

しかしその飄々とした雰囲気やコメントが面白かったため、周は次第に人気タレントとなっていく。そこで企画されたのが「第一次中華大戦争」だった。周の対戦相手には、周の同級生でもあり数々の中華料理店で総料理長をつとめた譚彦彬が選ばれた。
周は、カメラを向けるたびに10秒以上もこちらを見つめ続ける必殺技「周先生のカメラ目線」などを駆使し、勇敢に戦い抜く。しかし勝利の女神は譚に微笑んだ。