「ウチの夫は仕事が出来ない」の“仕事が出来る編”スタート!気の弱いお荷物社員から仕事人間へ!

日本テレビ系「ウチの夫は仕事が出来ない」は、タイトル通り、仕事が出来ない夫・司(錦戸亮)と、それを支える妻・沙也加(松岡茉優)の夫婦愛を描いた作品……だと思っていた。
「ウチの夫は仕事が出来ない」の“仕事が出来る編”スタート 気の弱いお荷物社員から仕事人間へ
イラスト/Morimori no moRi

みんな思ってたと思うけど、司は仕事出来る


錦戸亮の“なんかダメそうな人”の演技は、「この人マジでボンクラなのでは?」と、本気で思わせてくれるほど秀逸で、相手役を務める松岡茉優の評判も上々。しかし、放送開始以降、どうしても気に掛かることがあった。


「あれ?司って仕事できるんじゃない?」

たぶん、ほとんどの視聴者が楽しみながらも、この部分でモヤモヤしていたと思う。しかし、これは仕方のないことでもある。タイトルは後付けになることもあるし、インパクトのみで脚本家以外がつけるも多々あるからだ。このドラマががそうかどうかはわからないが、まぁ、たぶんそういうことなんだろうな、そう思って視聴していた。

ところがなんと、公式ホームページの第8話の予告には、「地道な努力が評価された司」「大仕事を任された司」「第2章の幕開け!」と、もう仕事が出来る前提であらすじが記されていた。

これはモヤが晴れるような清々しい展開だ。今までは、仕事が出来てるのに出来ない扱いだったが、今回は、終始仕事が出来る人として扱われている。

普通に認められている司


毎年恒例の大口クライアントである轟リゾート会長・轟夢子(田島令子)を喜ばせるためだけのイベントが開催される。このイベントの出来次第で、来年の契約内容が関わってくる重要なものらしい。

この責任者に、グループリーダー土方(佐藤隆太)は、司を抜擢する。イベント業界最大手の第一制作部というエリート集団、この中で誰もがうらやむ仕事を任されているのだから、もうこの業界の日本一評価の高い男と言っても言いすぎではない。

エリート後輩の田所(薮宏太)は不満が爆発するが、他の先輩達はギリギリ納得出来る様子。嫉みなどの余計な感情が絡まなければ、司の実力は誰もが認めているようだ。
ちなみに、田所もこの後に司の器の大きさを目の当たりにして、“アニキ”と呼ぶようになる。

あれ?ピンチ展開は?


轟会長は、「やりたいことは全てやり尽くした。どうやって喜ばせてくれるの?」と、なかなかの女王様っぷり。

しかし司は、プロジェクションマッピングを日本に初めて導入したという超大お金持ちの高杉(和田正人)と同窓会で再会し、その技術で轟会長のダムの底に沈んだ故郷を再現し、この難題を突破する。

今までは、クセ者クライアントや、アクシデントと立ち向かい、絶対絶命のピンチになりながら、何とかそれを努力、人徳、発想の転換で乗り越えてきた。しかし、今回は、過去最強の敵と言ってもいい轟会長を、いとも簡単に手懐けた。

もう仕事が出来すぎて、ハラハラドキドキすらこちらに提供してくれない。清々しい仕事の出来っぷりだ。

司、一番になるが……


この功績が認められて、司は社長賞を受賞。社長からは「君が一番の活躍をした」と褒めちぎられる。廊下を歩いていると、知らない社員からは「あれ?小林司さんじゃない?」「あの社長賞の人じゃない?」と、有名人のような扱いを受ける。

これで、誰もが認める仕事が出来る男への変身が完了した。

しかし、司はこれで有頂天になったのか、初めて、沙也加に連絡無しで飲みに行ってしまう。

予告を観た感じだと、おそらくはこれから司は仕事人間になり、今まで大切にしていたものを失ってしまうのだろう。


仕事人間になったのも司らしい理由でホッとする


こうなってしまったのは、何も社長賞だけが原因ではない。沙也加にマイホーム購入の相談を受けたこと、見に行ったモデルハウスと高杉の豪邸があまりにも違い過ぎたこと、そして、愛する沙也加がその豪邸を見て興奮していたことが関係している。

これらにより司は、仕事で結果を残さなければいけないと感じてしまったのだ。社長賞は、最後に背中を押しただけに過ぎないのだ。

「世の中金だ!命よりも愛よりも金が大事なんだ!」と、出世したことで変貌するパターンではなく、あくまで大好きな沙也加がきっかけで変貌してしまったことにホッとする。
どうでもいいけど、こういう展開を観て「カインとアベル」を思い出すか、「お金がない!」を思い出すかで、なんとなく世代がわかる。
(沢野奈津夫)
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