その『バイプレイヤーズ』に出演中の大杉漣さんが急逝したという。
こんなことあるのかよ!
第一報を見たのが『バイプレイヤーズ』のTwitterアカウントだったので、そういうやり過ぎなネタなのかとすら思ったのだが、残念ながら本当だった。
その後、次々と入ってきたニュースによると『バイプレイヤーズ』の撮影後、漣さんが体調不良を訴えて、松重豊が病院まで付き添って行き、最期は遠藤憲一、田口トモロヲ、松重豊、光石研という共演者一同に看取られたのだという。ホントにドラマのようだ。ホントにドラマのようだ。ドラマだったらよかったのに……。
漣さん自身、あれだけ楽しそうに参加していた現場だけに、バイプレイヤーズのメンバーみんなに看取られて逝けたことだけは、よかったと言うべきか……。

北野武映画をはじめ、映画『仮面ライダー』の地獄大使や、『ちゅうかなぱいぱい』の中華魔界ゲシュタポのリーダー・パイカル、『美少女戦士ポワトリン』のダイジョーブ博士、『まんが道』の仁科記者、『シン・ゴジラ』の総理大臣などなど(偏ってる!)あれだけ色んな作品に出演していた人なので、それぞれの大杉漣像があるかとは思うが、「エキレビ!」では『バイプレイヤーズ』の全話レビュー中ということで、『バイプレイヤーズ』目線からの追悼記事を書かせて頂きたい。(一期DVD)
松重豊にキスしようとしたり股間を触ったり
大杉漣、遠藤憲一、田口トモロヲ、松重豊、光石研の5人主演(寺島進もいて欲しかったところだが)ということになっている『バイプレイヤーズ』だが、その中でも大杉漣はストーリーを引っかき回すトラブルメーカーであり、メンバーみんなを愛しすぎているリーダーであり……と、常に中心人物だった。
最年長だからということもあるが、このドラマに対して、かなり前のめりで参加していたようだ。
現在放送中の第2期の話が持ち上がった際、本決まりになる前から嬉しすぎて周りに言いふらしていたようだし、変な空気を振りまいている「出演者自身にも知らされていないシークレットゲストとぶっつけ本番で演技をする」という企画も、漣さんからの提案がきっかけで誕生したのだという。
どこまで脚本で指示されているのかは分からないが、ドラマ本編での漣さんのはしゃぎっぷりもすごいのだ。
前回の「バイプレトーク」で、子役の話と絡めて「(66歳になって)そろそろ、俺も子役だな」と語っていたのが印象的だったが、ホントに赤ちゃん返りしたかのようなやりたい放題&フリーダムな演技にニヤニヤしっぱなしだった。
共同生活をやめると言い出した松重豊を必死で引き留め、思いとどまると抱きついてキスしようとし、寝ようとしている松重の布団に入り込んで股間を触って「朝立ちチェック」をする。
何をやってるのよ、面白すぎるじゃないか!
本編終了後の「バイプレトーク」も、漣さんが主にトークを回しており、ホントに楽しそうに番組に参加している姿がたまらなかったのだが、それだけに昨日放送された第3話は見ていてツラかった。
シークレットゲストだった平泉成と漣さんの絡みだって、本当だったら「『シン・ゴジラ』での総理大臣ふたりじゃーん」とネットがザワついたであろうネタだったのに、ネットは別の意味でザワつきっぱなし。
風邪を引いて(劇中ドラマの)撮影に参加できなかった田口トモロヲについて語った、
「島おじさんって5人が揃ってはじめて島おじさんだから、ひとりでも欠けたくないんで。だってオレたち、仲間だからさ」
という発言も、「いや、寺島進は!?」というツッコミ待ちのセリフじゃないかと思うけど、今や完全に別の意味となってしまいツライ。
カラオケで「Forever Young」を歌う漣さんの姿には、当然のごとく泣かされてしまった。
まだ元気だけど死ぬリアリティってあるわけよ
第3話の「バイプレトーク」では、女バイプレイヤーズ(島マダム)たちのLINEグループに、なぜか漣さんだけが混ぜてもらっているという話になり、「悪いけどもう俺、バイプレイヤーズ(のグループLINE)の方は辞めるから。退会します! 既読スルーとかされたじゃん」と冗談めかして言っていた。
しかし、そのバイプレイヤーズのグループLINEで体調不良を訴えたおかげで松重が病院まで付き添うことが出来、みんなで看取ることが出来たというのは、もう何と言ったらいいのやら……。
第2話の「バイプレトーク完全版」で、こんなに早くパート2が実現したことについてて、「(66歳になって)まだ元気だけど死ぬリアリティってあるわけよ。だから、なるべく早くやってもらいたいという気持ちはあるよね」と言っていた漣さん。
やれるもんならパート3、パート4も早くやりたいし、最終的な希望としては「(『バイプレイヤーズ』の)映画やりたいな」と語っていた。
映画『バイプレイヤーズ』、ホントに見たかったよ!
ひとまず第3話の放送は通常通り行われたものの、第4話以降をどうするかは検討中とのこと。
最終話である第5話の撮影途中だったということで、本来予定されていた形での放送は難しいのかも知れないが、できれば最終話まで見せてもらいたいところ。
第3話の撮影期間が田口トモロヲの舞台の稽古&本番にかぶっていたため、ひとりだけ別撮りで対応して違和感なく仕上げていた『バイプレイヤーズ』スタッフのこと、何とかしてくれると信じてます!
(北村ヂン)