
問題だらけのホテル「グランデ インヴルサ」は見事に復活を遂げていた。そこへホテル「スイーヴル」の団体客11人が業務見学にやってくる。「スイーヴル」は数ヶ月前の「グランデ インヴルサ」そっくりの崖っぷち状態だった。おまけにホテルの経営状態だけでなく、ホテルマンまでもそっくり!
裕子(川栄李奈)は宇海(岩田剛典)が「スイーヴル」に行ってしまうのではないかと予感する。裕子の予感は的中した。宇海が総支配人の佐那(戸田恵梨香)を呼び出し、「グランデ インヴルサ」を辞めて「スイーヴル」に行きたいと申し出たのだ。
名門ホテルを辞めて「グランデ インヴルサ」にやってきた理由を佐那に語る宇海。彼は幼い頃、母親と一緒に「グランデ インヴルサ」を訪れたことがあり、そこで佐那と出会っていたのだ。宇海が懸賞マニアなのは、そのとき苦労している母親を喜ばせるために懸賞に応募したらホテルの宿泊券が当たったからだ。「このホテルを夢の場所にしたい」とまっすぐ語る佐那を見て、宇海もホテルマンを志したのだ。
タイトルが出る前に登場する男女の子どもが宇海と佐那だということは視聴者なら100%わかっていたと思うが、ようやくここで種明かし。なるほど、幼なじみということではなく、1日の出来事だったのね。
宇海は夢をかなえてしまったため、新たな「ワクワク」を探して新しいホテルに移りたいのだという。最初は反対していた佐那も、宇海の気持ちを受け止める。
やっぱり目立ちまくる脇役陣
宇海の送別会が開かれることになるが、衣装がなぜか荷物に挟まってしまい、宇海は外に出ることができない。すると、宇海が去ってしまったと勘違いしたホテルマンたちが、一人ずつ彼への想いを語って泣きはじめる。
この構図が非常に『崖っぷちホテル!』らしい。主人公の岩田剛典はいつも画面の外にいて、芸達者な脇役たちが活躍するのがパターンだからだ。宿泊部の時貞(渡辺いっけい)が誠一(佐藤隆太)からホテルの経営権を奪い返すために全国の株券を集めたとき、宇海が励ましたシーンとかはグッとくるのだから、実際に撮ればよかったのに。
結局、姿を現した宇海に、佐那はこう言って胸を張る。
「宇海さん、私たちはこれからも、あなたに夢の場所と思っていただけるようなホテルでありつづけます。だって、こんな最高のホテルマンたちがいるホテルですから」
すでにストーリーは完結しており(前回、不穏な笑みを浮かべていたテレビマンたちは非常にまっとうなドキュメンタリーを作っていた。じゃ、あんな不穏な言い方しないでよ!)、時間がたっぷりあったため、非常にゆったりとした最終回になった。
主人公の2人よりも脇役陣が目立つのはいつものことで、実質彼らが主役と言ってもいいぐらいだった。なかでも、宮川大輔、くっきー、チャド・マレーンの芸人組がとても画面に溶け込んだ芝居をしていたのが印象的。川栄李奈、くっきー、佐伯大地がメインになるエピソードも見てみたかったなぁ。
恋愛要素もなく、ひねくれた要素もなく、むやみにドキドキすることもなく、月曜から始まる一週間もがんばって働こうと素直に思えるようなドラマだった。宇海が新しく働きはじめたホテルの「スイーヴル」という名前はフランス語で「つづく」という意味だそうだ。
なお、ゲスト出演の山下健二郎と山口乃々華の出番が死ぬほど短かったのだが、最終回放送直後からHuluで山下と山口も出演するオリジナルストーリー『崖っぷちホテル! ~本日のお客様は、宇海直哉さま~』の配信が始まっているのでこちらもお見逃しなく。
(大山くまお)
【配信サイト】
●Huluにて配信中
・TVer
『崖っぷちホテル!』(日本テレビ系)
脚本:土田英生
演出:猪股隆一、岩本仁志、水野格、山田信義
プロデュース:池田健司、福井雄太、柳内久仁子
制作:日本テレビ