サイプレス上野(→twitter) VS 呂布カルマ(→twitter
R-指定(→twitter)VS FORK(ICE BAHN)(→twitter)
という夢の豪華バトルが連続。
すごかったぞ。


初代モンスターが来襲し、ついに初代モンスターvs.2代目モンスターのバトルが実現。
即興のラップバトル番組『フリースタイルダンジョン』5th season Rec 3-6(→公式、→テレビ朝日、→Abema)で毎週火曜日深夜放送。

即興で、韻を踏みながら、言葉とリズムを相手にぶつける8小節2ターンの勝負だ。
3本勝負、2本先取で勝利。
ただし、判定が全員一致するとクリティカルとなり即勝利確定である。

初代モンスターサイプレス上野と二代目モンスターの呂布カルマ。
煽りVで、呂布カルマが
「(2連続、100万円奪取されたのは)サ上さんがジブさんの補佐につくようになってからの出来事。サ上さんが怪しいなと思ってるんで」
と凄い陰謀論を展開して、ナレーションのサ上さんに「おいおいおい」とツッコまれる。

バトルスタート。
サ上さんお得意の「バカ、嘘だよ」
呂布カルマが「ぶっちゃけ 初代弱ぇな 嘘じゃねぇよ 嘘じゃねぇよ」と返して、
「BAD HOP Benjazzyみたいなフロウでもかませるぜ」と続ける。
「嘘じゃねぇ 嘘じゃねえよ」は、『2018 feat. Vingo & Benjazzy』(BAD HOP)からの引用。
さらに、サ上さんがUZIから司会を受け継いだことを語ると、
「お前 この番組のルール知らねぇのかよ O.A乗んのかこれ怪しいぞ」と呂布カルマ。

UZIの名はコンプラかかるし、司会交代のあれこれは放送できないよーってお達しがあったのだろうか。(追記:この部分は放送と収録のタイムラグでネタバレしないようにってルールだったようです)
「おもしれぇ事やってメジャーいって その後、何だ? 芸人風情が俺にデケェ口叩くな」
呂布カルマが、ストレートで痛烈なディスで締める。
がっつり対話になったバッチバチの凄いバトル。
もっとこの先が見たい!と誰もが思う名勝負だったが、クリティカルで呂布カルマの勝利。
拮抗した勝負でも、たまたまそろっちゃうとクリティカルになっちゃうジャッヂの仕組みがつらい。
最後に「サ上くんには番組のピンチを救ってもらってお世話になってるんで、恩返しのつもりでフルボッコにしてやりました」と呂布さんが語るカッコイイ。

「俺らは自分が死んでも相手の目1個は潰すぐらいの気持ちで
バトルやってたんで」

と煽りVで冷静にだが熱く語るR-指定。
これに対するはFORK。

R-指定が、「お前らが若ぇ子に手も足も出ねぇから
ぶつかり稽古しに来てやっただけの話」


「おまエらが若【エ】子に手も足も出ね【エ】から
ぶつかりげエいこしに来てやっただけ【エ】のはなし」

と、抑揚を操ってぐいぐいと盛り上げて、
最後はすっと「FORK、ストレートで来いよ」と、
1フェイズのなかで多彩なフロウと韻とフレーズの有り様を詰め込んだ。

FORKは「現場」「Rメンバー」「楽しめ」「(モンス)ターの使命」などの韻を踏みながら、
最後に「やってやるよ 見たいんだろ? ダジャレとライムの違いだよ」と決める。

R-指定は「使命」のワードを受け継いで、「オシメ」で韻を踏むためのフレーズを即座に構築。
「逃げたんじゃない、次の場に羽ばたいたんだ」と、相手のディスをしっかりと返す刀で、
「視聴率下がって、そのケツを拭きに来ただけや」と斬る。
オシメからの流れで!

FORKは、ダジャレとライムの違いを語る自分の流儀モードに。
「布団が吹っ飛んだ これはダジャレだ
布団が俺に吹く強烈な追い風に乗って吹っ飛んだ これはライムだ」

踏んでる部分だけじゃなく、そこまでのプロセスだ、と。
そして最後に
「モンスターに戻って来い ついでに今吹っ飛んだ布団も取って来い」
と決める。

最初にふったダジャレとライムのくだりを、R-指定はスルーしている。
にもかかわらず、語ってしまったので、即興感は薄れた。
それをもぶっとばす、めちゃくちゃ構築された完成度の高い8章節を展開した。
3対2で、二代目モンスターFORKが奪る。

第二ラウンド、超ヤバいバトル。
FORKの「畑違い」だという主張を受けて、
「つまり畑荒らし お前はまるでガキのアンパンマンの絵本だな やなせたかし」
「畑荒らし」「やなせたかし」の豪快な韻踏み。
さらに「煎餅布団」「宣戦布告」と踏んで、手をぐるっと回す。

そこをすかさず「ぐるっと回って決めにいくなよみっともない」と突くFORK。
「あまりにもライムを強調したそのフロウ
まるで客にSay Hoって言ってるみてぇだ」

と痛烈ディス、プラス「俺は自然に湧き上がる歓声が聞きたい」と宣言。


「そんぐらい本気でやってくれねぇと兄ちゃん」とR-指定ガンガンとテンションあげる。
続けて「死角からボン グレネードランチャーみたいなもんだ」
「くれねぇと兄ちゃん」「グレネードランチャー」の固い韻で殴る。
さらに「薄ら笑い 誰1人として4人目の器じゃないんだよ」
「薄ら笑い」「器じゃない」の韻を踏みながらのディスでしめて、会場が湧きまくる。
「フリースタイルダンジョン」「視聴率下がってそのケツを拭きに来ただけや」R-指定×FORK超ヤバい
フリースタイルイラスト/まつもとりえこ


第三ラウンド。
R-指定が、多彩なスキルとフロウを見せつけたうえで
「お前のラップ一辺倒 地方のイベントで威張ってろバカ」と韻ディス韻ディスの連打。
受けて、FORK「乗り方なんて必要ねぇ 俺のラップは極上のライムと比喩表現だ」と1mmもブレない。
「乗り方なんて必要ねぇ」って言い切っちゃうの、すごい。
「マジで世が世だったら無礼すぎて腹切して早死
しちまうようなハヤジニー発言だよ」

とむちゃむちゃなライムもぶっこみながらの応酬。
R-指定「絶句するCHECKする切腹せずライムとSEXする それが俺のやり方」と放って、
「Zeebraの前だから鼻息荒くもなるわな」と、敢然と満面の笑みだ。
FORKは、シェイクスピアからの「まるで宇多田ヒカルの歌詞」ときて、
「Automaticにこの勝負は決まる お前のTravelingもここまでだ」
と(その後も)宇多田ヒカル楽曲タイトルの連なりを吐き出す。
超絶名勝負の結果は、
R-指定のクリティカル勝利。


まあ、お互いいろんな手を持っておるな!
・サイプレス上野 VS 呂布カルマ
・R-指定 VS FORK(ICE BAHN)
なんと密度の高い二本立てだったろうか。

次回は、R-指定のバトル、超絶楽しみだ。(テキスト/米光一成 イラスト/まつもとりえこ
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