『イノセンス 冤罪弁護士』（日本テレビ系）の第9話が3月16日に放送された。（関連）
今回のテーマは“私情”であり、“感情”。
秋保恭一郎（藤木直人）の妹・彩花（伊藤梨沙子）が被害に遭った11年前の「東央大学殺人事件」に酷似する事件が発生した。被疑者である富士田順平（坂本真）は容疑を否認。富士田に接見した黒川拓（坂口健太郎）は尋ねた。
「11年前も女子大生が殺害される事件が発生しました。富士田さん、11年前の12月15日、あなたはどこで何をしていましたか？」
富士田は怒り出した。当然だ。初っ端から拓は私情が先行している。拓は富士田に弁護をしたいと申し出た。
11年前の事件と今回の事件に関連性はあるのか？ 考えられるのは4つの可能性だ。1つ目は、単なる偶然。2つ目の可能性は、模倣犯。3つ目の可能性は、富士田が今回の事件も11年前の事件にも関わっている。
富士田の弁護を担当し、それを突破口に「東央大学殺人事件」の真実にたどり着く。それが、今回の拓の狙いだ。つまり、彼の軸足は11年前の事件にある。かつての事件で犯人とされた幼馴染の冤罪を晴らしてみせる。拓の私情である。
今回も秋保は拓に協力した。しかし、今までとこの事件が大きく異なるのは、「東央大学殺人事件」との関連性が疑われているという点だ。今回の事件を取っ掛かりに、11年前の真相にたどり着きたいと拓は考えている。あのときの犯人、つまり秋保の妹を殺したのは幼馴染の浅間大輔（鈴之介）ではないと信じる拓。秋保は違う。
「お前は浅間大輔を無実だと信じたい。俺は……俺たち家族は、浅間が犯人だという結末で構わない。
8話における死刑囚の娘もそうだった。事件関係者にとっては、つらい過去に再び向き合うより目の前にある答えを選びたいときがある。「11年前の事件の犯人と今回の事件の犯人は、同一人物かもしれないんですよ？」と拓から言われた際、表情をピクッと動かした秋保。拓の言葉を体が拒絶していた。誰よりも合理的な科学者の秋保でさえ、理論の破綻した感情優先の考えにすがり拓を攻め立ててしまう。家族を失うとはそういうことだ。
浅間の冤罪を晴らそうとしている拓がいて、家族が殺された事実は覆らない秋保がいる。秋保にとっては憎悪の対象が変わるだけ。服装と髪型を真似るほど拓は浅間を慕っているが、固執しているのはむしろ秋保のほうだった。
奇跡的なバランスで協力し合ってきた2人。しかし、11年前と向き合うことで立ち位置の違いがハッキリ浮き彫りになった。
今、拓の最大の理解者は和倉楓（川口春奈）だ。
「信じたい。でも、わからない。だから調べる。それでいいじゃないですか。今までだって、ずっとそうして来たんですから」
このドラマに恋愛描写は必要ないが、今の拓にとって和倉は明らかに必要な存在だ。行き過ぎず、心のつながりが見えるくらいに留まる距離感は心地いい。
そんな和倉が、拓をかばい何者かに刺されてしまった。そういえば今回、拓に投げかけられたセリフで妙に引っ掛かるものがある。
「黒川。
これは、拓が死体の冷たさを知ってしまう展開へのフラグ？ そうではないと願いたい。
今夜放送の10話は最終話だ。予告によると、楓を刺したと神津一成（武田真治）が自首するらしい。しかし、この男からは知性が感じられない。SNSで警察をミスリードするなど、今回の事件の真犯人は知能犯だ。和倉を刺した男と本当に同一犯なのか？ という疑問は残る。
そして、秋保との関係も気掛かりだ。拓の信念に関わってくる問題だからである。弁護士としての信念を貫き、真実を明らかにすることが、最終的に事件に関わった人たちみんなを救う結果になると信じたい。
（寺西ジャジューカ）
『イノセンス 冤罪弁護士』
脚本：古家和尚
音楽：UTAMARO Movement
音楽プロデュース：岩代太郎
主題歌：King Gnu「白日」（アリオラジャパン）
参考資料：「冤罪弁護士」今村核（旬報社）
チーフプロデューサー：池田健司
プロデューサー：荻野哲弘、尾上貴洋、本多繁勝（AXON）
演出：南雲聖一、丸谷俊平
制作協力：AXON
製作著作：日本テレビ
※各話、放送後にHuluにて配信中
ドラマ「イノセンス 冤罪弁護士」 オリジナル・サウンドトラック／バップ
今回のテーマは“私情”であり、“感情”。
犯罪被害者遺族の感情と被疑者の冤罪を晴らしたいと願う幼馴染の感情だ。
私情が先行する弁護士
秋保恭一郎（藤木直人）の妹・彩花（伊藤梨沙子）が被害に遭った11年前の「東央大学殺人事件」に酷似する事件が発生した。被疑者である富士田順平（坂本真）は容疑を否認。富士田に接見した黒川拓（坂口健太郎）は尋ねた。
「11年前も女子大生が殺害される事件が発生しました。富士田さん、11年前の12月15日、あなたはどこで何をしていましたか？」
富士田は怒り出した。当然だ。初っ端から拓は私情が先行している。拓は富士田に弁護をしたいと申し出た。
11年前の事件と今回の事件に関連性はあるのか？ 考えられるのは4つの可能性だ。1つ目は、単なる偶然。2つ目の可能性は、模倣犯。3つ目の可能性は、富士田が今回の事件も11年前の事件にも関わっている。
4つ目は、真犯人が別にいて他人に罪を着せた。
富士田の弁護を担当し、それを突破口に「東央大学殺人事件」の真実にたどり着く。それが、今回の拓の狙いだ。つまり、彼の軸足は11年前の事件にある。かつての事件で犯人とされた幼馴染の冤罪を晴らしてみせる。拓の私情である。
犯人が誰であろうと憎悪の対象が変わるだけ
今回も秋保は拓に協力した。しかし、今までとこの事件が大きく異なるのは、「東央大学殺人事件」との関連性が疑われているという点だ。今回の事件を取っ掛かりに、11年前の真相にたどり着きたいと拓は考えている。あのときの犯人、つまり秋保の妹を殺したのは幼馴染の浅間大輔（鈴之介）ではないと信じる拓。秋保は違う。
「お前は浅間大輔を無実だと信じたい。俺は……俺たち家族は、浅間が犯人だという結末で構わない。
真相なんかより、目の前にある答えのほうが苦しまずに済む！」（秋保）
8話における死刑囚の娘もそうだった。事件関係者にとっては、つらい過去に再び向き合うより目の前にある答えを選びたいときがある。「11年前の事件の犯人と今回の事件の犯人は、同一人物かもしれないんですよ？」と拓から言われた際、表情をピクッと動かした秋保。拓の言葉を体が拒絶していた。誰よりも合理的な科学者の秋保でさえ、理論の破綻した感情優先の考えにすがり拓を攻め立ててしまう。家族を失うとはそういうことだ。
浅間の冤罪を晴らそうとしている拓がいて、家族が殺された事実は覆らない秋保がいる。秋保にとっては憎悪の対象が変わるだけ。服装と髪型を真似るほど拓は浅間を慕っているが、固執しているのはむしろ秋保のほうだった。
奇跡的なバランスで協力し合ってきた2人。しかし、11年前と向き合うことで立ち位置の違いがハッキリ浮き彫りになった。
「真実を求める」という信念で皆は幸せになるか？
今、拓の最大の理解者は和倉楓（川口春奈）だ。
「真実を求める」という信念を持ちながら、浅間の無実を願う拓。拓は矛盾を孕んでいる。そんな彼に和倉は言葉を掛けた。
「信じたい。でも、わからない。だから調べる。それでいいじゃないですか。今までだって、ずっとそうして来たんですから」
このドラマに恋愛描写は必要ないが、今の拓にとって和倉は明らかに必要な存在だ。行き過ぎず、心のつながりが見えるくらいに留まる距離感は心地いい。
そんな和倉が、拓をかばい何者かに刺されてしまった。そういえば今回、拓に投げかけられたセリフで妙に引っ掛かるものがある。
「黒川。
お前は、死体の冷たさを知らない」（秋保）
これは、拓が死体の冷たさを知ってしまう展開へのフラグ？ そうではないと願いたい。
今夜放送の10話は最終話だ。予告によると、楓を刺したと神津一成（武田真治）が自首するらしい。しかし、この男からは知性が感じられない。SNSで警察をミスリードするなど、今回の事件の真犯人は知能犯だ。和倉を刺した男と本当に同一犯なのか？ という疑問は残る。
そして、秋保との関係も気掛かりだ。拓の信念に関わってくる問題だからである。弁護士としての信念を貫き、真実を明らかにすることが、最終的に事件に関わった人たちみんなを救う結果になると信じたい。
（寺西ジャジューカ）
『イノセンス 冤罪弁護士』
脚本：古家和尚
音楽：UTAMARO Movement
音楽プロデュース：岩代太郎
主題歌：King Gnu「白日」（アリオラジャパン）
参考資料：「冤罪弁護士」今村核（旬報社）
チーフプロデューサー：池田健司
プロデューサー：荻野哲弘、尾上貴洋、本多繁勝（AXON）
演出：南雲聖一、丸谷俊平
制作協力：AXON
製作著作：日本テレビ
※各話、放送後にHuluにて配信中
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