天海祐希主演の医療ドラマ「トップナイフ─天才脳外科医の条件─」(日本テレビ系・土曜22時~)第3話。

深山瑤子(天海祐希)たちの元に、例のごとく聞いたこともないナゾの症状を持った患者たちがやって来る。

天海祐希「トップナイフ」3話。プロポーズしようとしてる彼女が「漫才師みたい」と関西弁を嫌悪…今どき?
イラストと文/北村ヂン

珍しすぎる病気、またも登場


今回の患者は、頭を打ってからなぜか関西弁しかしゃべれなくなったという赤坂進次郎(金井勇太)と、以前受けた深山の手術のせいで(自分が)殺されたと主張する神戸一郎(池田成志)。

赤坂の症状は関西弁の語感のせいか何かの悪ふざけにしか思えないが、「外国語様アクセント症候群」なる病名がついている。

脳の何らかのトラブルで、外国語を話しているようなアクセントが出てしまうというもの。要はルー大柴的なしゃべり方になってしまうということか? 赤坂のケースでは東京生まれなのに、なぜか言葉がすべて関西弁イントネーションになってしまうのだ。

……外国語はともかく、関西弁になってしまうという症例があるのかどうかは不明。

そして、東京弁だろうが関西弁だろうが、どっちでも生活に支障はなさそうだが、プロポーズをしようとしている彼女が「漫才師みたい」と関西弁を嫌悪しているため困っているというのだ。

今時、そんなひどい偏見の人、いる!?

そして神戸は、自分が既に死亡しているという妄想を抱く「コタール症候群」。

第1話の、DVの原因は脳腫瘍のせいだという説。第2話の、誰を見ても元恋人だと思い込む「フレゴリ妄想」とともに「そんな病気あるんだー!?」と驚かされる。

存在感0%だったアキラ100%が……


「自分が既に死んでいる」という妄想を抱くだけならいいが、神戸は「深山に殺された」「本当に死んでいるのか確かめたい」と考えているのが厄介。

神戸の通報でやって来た警察に深山は取り調べを受けることになる。当然、生きている神戸自身の「自分が殺された」というわけのわからない主張に整合性があるはずもなく、すぐに解放されるわけだが……というか、警察もそんな通報でやって来るなよ!

「死んでいる」と確認するために2階から飛び降りてみたり、誰かを道連れに死のうと思ってみたりと、様々な厄介行動を繰り広げる神戸。

そんな彼が回復するきっかけとなったのが、前回、黒岩健吾(椎名桔平)が元・彼女(?)から「あなたの息子よ」と押しつけられていた子ども・保(嶺岸煌桜)。

保を道連れに死のうと考えた神戸だったが、保がタブレットで見ていたアキラ100%で笑いを取り戻したのだ。


本作に救命医役としてアキラ100%が出演しているのは知っていたが、服を着ることで存在感が100%消え去っており、まあまあ気合いを入れて見ていないとどこに出演しているのか見逃してしまうくらい影が薄かった。

ある意味、「芸人が出てる」という違和感を完全に消し去る優秀な役者と言うこともできるが。

それがここに来て、本業の方でも登場するとは。

ずっと“無”の顔をしていた神戸が、動画を見て感情を取り戻す瞬間。微妙な表情を演じきった池田成志の演技も光っていた。

広瀬アリスのバカっぷりに癒される


全貌が解明されていない未知の領域・脳をテーマにしているだけに、聞いたことのない珍しい病気がポンポン登場して、凄腕医師がズバッと手術するだけでドラマチックな展開になりそうなところだが、本作において手術それほど重要な要素ではなさそうだ。

赤坂に関しては、併発した「甲状腺クリーゼ」を手術で治しただけで関西弁問題は解決していないし、神戸の「コタール症候群」は手術すらしておらず、回復への一歩を踏み出させたのはアキラ100%の動画。医師たちはほとんど役に立っていない。

知らん病気が次々に登場するので、ともすれば視聴者が置いてけぼりになってしまいそうなところ、病気自体ではなく、患者や医師たちのドラマに落とし込んでいるのが本作のポイントだろう。

それにしても、さすがに珍しい症状の患者が集まりすぎだけど……。

医師側の問題としては、黒岩の隠し子(?)とともに、深山の家にもまあまあデカい娘(桜田ひより)がやって来ていた。

離婚した元夫が引き取って育てているものの、再婚して新しい母親がやってきたことで関係が悪くなり、たびたび深山のところにやって来ているようだ。


ラストには、西郡琢磨(永山絢斗)のトラウマの原因となった患者も登場。前回、電話をかけた相手から「アナタは逃げたの、あの痛みから」なんて言われていたが、その“痛み”とも関係があるのだろうか?

そして、深山に押しつけられたもうひとりの問題医師・小机幸子(広瀬アリス)は、チャラいバーテンダーに恋してしまうという、実に平和な悩みを抱いている。……彼女おバカっぷりに癒されるわー。

本番に弱く、現場では使い物にならないとはいえ、大学の医学部を首席で卒業したくらいには優秀な人だったはずなのに!
(イラストと文/北村ヂン)

【配信サイト】
TVer
Hulu

「トップナイフ─天才脳外科医の条件─」(日本テレビ)
原作:林宏司『トップナイフ』(河出文庫刊)
脚本:林宏司
音楽:横山克、鈴木真人
主題歌:JUJU 「STAYIN' ALIVE」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
医療監修:新村核、岩出康男、谷川緑野、本田俊哉、松本尚、中村光伸
看護指導:石田喜代美
医療CG:奥山正次(デキサ)、横山敦子(GAIN)
医療担当助監督:竹中修
医療協力:セコメディック病院、第一会若葉クリニック
チーフプロデューサー:池田健司
プロデューサー:鈴木亜希乃、茂山佳則
演出:大塚恭司、佐久間紀佳、茂山佳則
制作協力:AX-ON
製作著作:日本テレビ
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